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刊行記念対談<br />諸田玲子×繁田信一<br />下級貴族と庶民が織りなす平安京の物語

刊行記念対談
諸田玲子×繁田信一
下級貴族と庶民が織りなす平安京の物語

「本の話」編集部

『王朝小遊記』 (諸田玲子 著)

出典 : #本の話
ジャンル : #歴史・時代小説

諸田 私は父親が銀行員で、サラリーマン家庭に育っているんです。だからか、私の江戸時代小説に出てくるのは武士の娘か、むかし武士だった人の娘。制度や組織に縛られているなかでいじらしく懸命に生きていく人間が多い。私自身もOL経験があります。平安京というのも大きな組織のようなもので、検非違使の看督長(かどのおさ)みたいに、上からも下からも責めたてられるような人たちに惹かれます。

王朝民俗学者。著書は『かぐや姫の結婚』『王朝貴族の悪だくみ』など。「平安時代は全てやる」と地方の生活も研究中。

繁田 「看督長」は江戸時代でいうと、岡っ引きみたいな存在ですよね。僕も書きたいテーマの一つです。彼ら自身の書き残したものもあって。上層庶民だったようで、地方に領地を持っている奴もいて、なかなか面白い人たちです。

諸田 現代と平安朝が現代と江戸以上に似ていると思うのは、気持ちの面です。江戸時代は儒教の価値観が浸透していましたけれど、平安時代はよくも悪くももっと混沌としているというのかな。

繁田 そうですね。たとえば明治とか大正のほうが今よりも活気というのか、緊張感があって、この緊張感のなさという意味では、平安、室町あたりと現代がよく似ているのかもしれない。

諸田 私たちは平安時代の方違えとか物忌みを「迷信」と笑いがちですけれど、よく考えると、ほとんど同じことをしているんですよね。

繁田 平安京では朝起きたらまず暦を見て吉凶を知れ、ということになっていました。僕らもテレビつけたら占い見て、ある局の言っていることが悪かったら別の局に変えたりします(笑)。

諸田 天気をとても気にしたり。今ととても似ているので平安朝を調べるほど「あ、私がいる」と愛おしくなってくるんです。

繁田 親近感が持てますよね。

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単行本
王朝小遊記
諸田玲子

定価:1,760円(税込)発売日:2014年04月24日

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