昨年九月、『東大合格生のノートはかならず美しい』という本を出しました。東大合格生の受験時代のノート、二百冊余りを取材し、まとめたものです。日本一受験科目の多い東大に合格することを目的としたノートは、整然と知識がまとめられ、そこには「迫力ある美しさ」がありました。それから半年ほど経ったこの四月に、この本の第二弾となる『東大合格生のノートはどうして美しいのか?』という本を出すことになりました。今回は、そのきっかけや内容の一部についてお話しさせていただきたいと思います。
『東大合格生のノートはかならず美しい』が発売された初秋は、書店の参考書売場にひっそりと置かれていましたが、しばらくすると、新聞、雑誌、テレビ、ラジオとあらゆるメディアで取り上げられるようになりました。私自身も著者として取材を受け、目まぐるしい日々を過ごしているうちに、本は書店の一番目立つ場所に平積みされるようになり、そして多くの方に購入していただくこととなりました。私にとっては初めての著作でしたので、信じられないくらい嬉しかったです。
晩秋になると、本に対する反響が私のもとにも届くようになりました。最初に届いたのは、「自分の知っている東大生はノートが汚いんだけど」や「東大生のノートだけが美しいわけではないのでは?」という意見でした。
これに対して、担当編集者が言いました。十一年前、田中真紀子元外相が三人の政治家を「凡人・軍人・変人」と称したことがあるが、ノートにも「天才・秀才・凡人」があるのではないかと。整然とした美しいノートを書く東大生は秀才タイプ。だから凡人にも応用できるノウハウを使いノートを書いている。しかし、天才はノートが汚いかもしれないし、もしかしたらノート自体を書かないかもしれない……。
この話から、ノートに対する新しい好奇心が生まれました。「天才」を定義づけるのは難しいことだけれど、「天才」と言われる人のノートが見たくてたまらなくなったのです。そこで、何かを極めた人たち――その証(あかし)として贈られるノーベル賞受賞者たち――のノートとその付き合い方を調べてみることにしました。
東大合格生のノートはどうして美しいのか?
発売日:2015年02月27日
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