- 2011.05.20
- 書評
じいさんとばあさんの結婚はいい!
「シニア婚活」実践的ススメ
文:岡田 信子 (作家)
『五十代・六十代は第二の適齢期――婚活、離活、老後の備え』 (岡田信子 著)
ジャンル :
#趣味・実用
中高年の年齢層を五十代からとして、ほとんどの人が、過去に結婚や恋愛の体験をお持ちであろう。現在独身の人はもとより、不本意な結婚生活を送っている人もリセット(離婚、そして再婚も!)のチャンスなのである。私自身、日系アメリカ人の最初の夫との結婚生活は二十六年にも及んだが、夫婦が笑い合っておしゃべりした想い出は、一片すら出てこないのだ。わびしい限りだ。子どもを産み、家庭と仕事を両立させながら、三百坪の土地に5LDKRの家を建て、俗に言うアメリカン・ドリームを達成した事実だけだ。夫からの様々な仕打ちに耐え切れず、私は子どもの大学入学を待って、五十一歳のときついにアメリカン・ドリームのすべてを置いて、たった一人何の保障もない日本へ戻ってきた。
「たった一人身」となった私は、ただがむしゃらに仕事をがんばるしかなかった。やがて物書きと英会話講師という職をみつけ一安心したころ、中高年お見合いパーティに、表向き取材を兼ねて出かけて行くことになる。この時の、超こっぱずかしい婚活体験もすべて本に書いた。六十代の自分では「私はもう売り物にはならない」と自覚したものだ。とは言え、私は東京神田の生まれ。日米でセールスウーマンだったこともあり、あきらめずに自分売り込みに出かけた。「シングル中高年男性の生活」などと称したインタビューの名目で出会いを探し、そこで出会った男性の一人が現在の夫となる。六十九歳になって、前夫との正式の離婚手続きが完了したとたん、「再婚の神様」が現れ、救いの手を差し伸べてくれたのである。七十一歳で結ばれた夫は、二歳年下の元気で明るい人。二人はよく話し、よく笑う。
五十一歳で帰国してからの約二十年間、私はたった一人でがむしゃらに働いてきた。その経験を書いた『たった一人の老い支度 実践篇』(新潮文庫)はおかげさまで多くの読者を得て、それを元手にマンションを買い替えることができた。現在は“たった一人の老い支度”適合の「終(つい)のすみか」に住んでいるが、いつなんどき今回の東日本大震災のような想定外の災害に巻き込まれないとも限らない。多数の被災者の心情は察するにあまりあると感じる。今、私には共に手を取って苦しみや難事に当たれる人があり、何よりだったと思っている。
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。