人事を熟慮した第二次安倍政権
――ところで、飯島さんのいまの肩書きは「特命担当の内閣参与」ですね。「外交担当」とか「スポーツ担当」は役割がはっきりしていますが、「特命担当」というのは?
飯島 そもそも、内閣参与ってのは、時の首相から「これを頼む」と指示された事柄について調査し、首相からの問いかけに答えるのが仕事だよ。で、「特命」とは何かといえば、内閣支持率を高く維持して長期政権を実現することに尽きるね。内政、外交を問わず時々の懸案事項について、先まで見通して対策を講じることだね。
国政選挙が迫ってきたら、焦点となる選挙区の候補者をどう選ぶか、あるいは選挙区情勢をどう読むかというような職務もある。
はたまた、北朝鮮の日本人拉致問題とか、国際政治の問題についても、常に目を光らせているのさ。本にも詳しく書いたけど、昨年五月に私が訪朝したのも、その一環だよ。
――そんな飯島さんからご覧になって、安倍政権は第1次と第2次で、どこが変わったのでしょう。
飯島 いろいろあるけど、1つ挙げれば人事だよ。第1次のときは、安倍首相への支持ではなく、小泉内閣における選挙で大勝した300議席を引き継いで誕生したものでしょ。なのに、人材配置では“お友達”で内閣を固めて仲良しクラブなどと揶揄され、国会では強行採決をくり返した。そのうえ、郵政民営化に造反して離党した議員を自民党に復党させた。自分の内閣で選挙に勝ったんじゃないことを忘れたかのような、やりすぎが多々あったのさ。「政(まつりごと)」の手法としては全然なっていなかったわけよ。
その点、閣僚を選ぶ過程をみていると、第2次安倍内閣では、人事が熟慮されていることがよくわかる。
普通、閣僚人事は、適材適所でこの人はここだと決めるだけでしょ。ところが、第2次安倍内閣ではTPPの問題があるから、外務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣の組み合わせが大事だったわけだ。特に外務大臣は、アメリカとの2プラス2もあり、防衛大臣との組み合わせも円滑でなければならない。この3大臣を決めるのが最後になったのが、いかに重視したのかの何よりの証だよ。実際に岸田文雄外務大臣を中心とした連携は、非常にうまく行っているよ。
――この本には、「週刊文春」で好評の連載「飯島勲の激辛インテリジェンス」も収録されています。
飯島 予想以上に注目度が高いらしくて、「『週刊文春』は『激辛』から読んでます」なんて言ってくれる人が結構いるんだよ。お世辞でも、嬉しいよね。