東海林さんは、大学の漫画研究会の大先輩であります。どれぐらい大先輩かというと、私の生まれた年に大学に入学されたぐらいの大先輩。
園山俊二さんやしとうきねおさん、福地泡介さんらと並ぶ漫研創成期のメンバーのおひとりで、世間一般的に言うならば「大御所」といった存在になると思うのですが、実際の東海林さんはそうした年寄りじみたところ、エラソーな大家然としたところがまったくない人です。そして、漫画にエッセイに、現役バリバリで活躍しておられます。
そして、本書をお読みの方々は百も承知と思いますが、東海林さんの食べ物への関心、そして食べることへの欲求は、年齢など関係なくますます旺盛であるようです。
ところで、僭越ながら、かくいう私も、飲んだり食べたりすることにはひとかたならぬ執着がありまして、漫画の題材もほとんど飲食に関するものばかりであります。
そういう意味で、われらが漫研出身の漫画家の中では、最も東海林さんの路線に近いかななどと勝手に思っております。
そしてまことに不遜ながら、もしかして、将来、東海林さんが引退されるようなことがあったら、その後釜に坐れるのではないか、などと考えていた時期もありました。
ところが、東海林さんは引退する気配などまるでなく、その考察の鋭さはますます冴え渡る一方であります。
どれぐらい鋭いかというと、「アボガド」と言う人に対して「アボカド」が正しいと訂正するのを生き甲斐としてきた私が、本シリーズのアボカドに関して書かれた回を読んで、すっかりその気をなくすぐらいの鋭さであります。(本書には載ってないので、ネタばれ防止でこれ以上は申しません)
しかし、あるとき私は気がつきました。東海林さんの書かれる物を楽しんだり感心したりしているうちは、後釜どころかまだまだとても足下にも及ばないのではないかと。
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