寄せられるメールはほとんどが長文だ。些細なことから深刻な悩みまでさまざまだが、中には似たような投稿もある。
すでに放送されてしまったものとの重複を避けるため、担当ディレクターがボツにしようとすると、香山さんは、「この人にとっては違う答えが必要なんだと思う」と、その悩みを取り上げる。
似た内容でも相談者の性別や世代、置かれた環境によって答えが違うのだという。だからこそ、香山さんはあえて採用するのだ。そして、悩み、傷ついている人の心を思いながら「私だってそんなときがあるんですよ。でもね……」と相手の目線に合わせて話しかける。ひとり、スタジオのマイクに向かって。
話し言葉の本
さて、そんなスタジオの様子をそのまま本にしたのが、この『ココロの美容液』だ。実は私は収録時、いつも香山さんの優しく話しかけるような語り口に聞き入ってしまうのだが、この本からもそれが心地よく伝わってくる。
「ときどき気持ちが落ち込むこと、あり。これってウツですか?」
「最近、すぐにイラッとします」
「片づけが極端に苦手なんです」
「子供とちょっと気が合いません」
1度しか放送されないアドバイスを本書でいつでも繰り返し読めるのも嬉しい。しかも掲載された30本のアドバイスは、オジサンの私でさえ、参考になる。読んだ後、ふっと気持ちが楽になる。乾いたココロに潤いを与えてくれる、女性にとっての美容液のような感じだ。
つい最近寄せられたメールがある。「番組の放送が始まると、いつもとてもリラックスできます。よくうとうとと眠ってしまいます。あしたは久しぶりに美容院へ髪を切りにいってきます。気持ちを軽くして来週を迎えたいです」
ベッドの脇に置く。バッグの中に忍ばせる。心がちょっとつまずいたときにこの1冊が身近にあれば、それだけで再び歩き出せるのではないかと思う。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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