2014.01.28 インタビューほか

侮日観の伝統から照らし出す韓国の反日

「本の話」編集部

『侮日論 「韓国人」はなぜ日本を憎むのか』 (呉善花 著)

侮日観の伝統から照らし出す韓国の反日

――今回のお仕事では、日韓関係がこれまでになく悪化している現状について、日本側からは容易に見えてこない韓国側の諸事情が総合的に論じられています。

 日韓関係は国交正常化以来最悪の事態に立ち至っています。このことは、現在の韓国社会がきわめて深刻な危機状態にあることと強く関わっています。この社会的危機が政治的には保守対左派の過激な対立として現れ、ともに覇権を得るため反日主張をエスカレートさせていくという、実におかしな「反日愛国競争」が巻き起こっているのです。

 こうした現状に正面から応えられる「反日韓国論の総集編」が本書の狙いです。できる限り独自性ある論考を中心に整理し、新たな観点から書き下ろすことによって1冊に仕上げました。

――戦後韓国の政治的な諸事情の経緯や、韓国人の国民性を形成している朝鮮半島の文化的・歴史的な性格が、現在の反日主義といかに密接不可分なものであるかが、わかりやすい語り口で詳細に論じられています。本書を特徴づけるとしたら、どのようなことになりますか?

 本書の特徴には大きく2つがあります。1つは、私自身の体験をもって語っているところ、そして韓国出身だからこそ語り得るところが大半を占めていることですね。もう一つは、韓国の反日主義・反日感情の深層にある韓国伝統の「侮日観」に焦点を当てていることです。この1つに重きを置くことによって、独自の観点をよりはっきり示すことができたと思っています。

――韓国の反日主義は「侮日観」を抜きに語ることはできない、とおっしゃっていますが?

 はい。中国やアジア諸国の一部にある反日と韓国の反日は、根本的に異なるものです。韓国の反日は「韓民族」による反「日本民族」主義という性格のもので、これが戦後韓国人の民族アイデンティティを形づくっています。別な言葉でいえば、韓国の反日は「反日本民族という民族主義」であり、そこに韓国ナショナリズムの基本的な性格があるということです。ですから、反日なくして韓国人の民族アイデンティティは成り立ちません。他の諸国に、こんな性格をもつ反日もナショナリズムも皆無です。こうした韓国に特有の反日をその深層から性格づけているのが、朝鮮半島に伝統的に根付いてきた「侮日観」なのです。

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『侮日論』
呉 善花・著

定価:750円+税 発売日:2014年01月20日

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