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ちきりん×柳川範之<br />「人生は二回、生きられる?」トーク ライブ・レポート!<後編>

ちきりん×柳川範之
「人生は二回、生きられる?」トーク ライブ・レポート!<後編>

構成:『未来の働き方を考えよう』担当編集

『未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる』 (ちきりん 著)


ジャンル : #趣味・実用

一歩踏み出せる人と踏み出せない人

柳川 「40歳定年制」を出した時にいろいろ反論いただいた中の1つに、ある企業の人事関係の方から「素晴らしい考えだけれども、そもそも自分の人生を自分で考えることができない人が多いんだよ」といわれたんですね。今日の参加者は、自分の人生を主体的に考えていらっしゃるというだけですごい。まずそこができていないと、こういう話ってなかなか進まないんで……。

ちきりん 自分がやりたいことが分かってるって、ほんとにラッキーなことだと思うんです。よく、勝ち組、負け組とか、強者とか弱者って言いますけど、いい大学出てるとか、いい会社に勤めているとかより、「自分のやりたいことが明確だ」という状況は、本当に幸運だし、強いと思う。

柳川 ほんとうは、子どもの頃から学校でも教育して、考える癖をつけさせておくべきだと思いますね。

ちきりん そのとおりですね。とはいえ、具体的な「なりたいイメージ」があっても、1歩踏み出すのが大変というか、怖い人も多いと思うんですが、1歩踏み出せるかどうかっていうのは、何にかかわっているんでしょうか? 漠然とした不安で踏み出せない人はどうすればいいんでしょう?

柳川 うん、まあ、とりあえず踏み出してみることですかね……。

ちきりん それはまた学者らしい抽象的なアドバイスですね(笑)

柳川 いやいや(笑)、真面目にいうと、2つあると思います。1つは、全部を捨てて新しい方向に踏み出すのは難しいので、今やっていることを残しつつ別のところに踏み出していくこと。さっき副業の話をしましたが、メインではなくサブのところで踏み出すのなら普通の人も抵抗なくできるんじゃないか。もう1つは、1歩踏み出せるかどうかは、考え方の癖なので、そのトレーニングをすること。全然違うジャンルでいいので、何を食べるかとか、どこに遊びにいくかとか、そういうちょっとしたところから、「不安だけど踏み出してみる」というディシジョンの癖をつける。単純で小さなところからやっていくと、いざという大事なときでも決断ができるようになってきます。

ちきりん 私も、最初にブログを書き始めたときは会社員で、休日とか夜を利用して書いていましたし、そういう意味では、俳優になりたい人が土日を利用して俳優養成所に通うとかもありです。いきなり崖から飛び降りなくても、自分のやりたいことを少しずつやってみるという方法もありますよね。

 あと、2番目におっしゃった“考え方の癖とか慣れ”は、本当にそう思います。今も、WEB業界とか外資系の金融業界で、転職が怖い人なんてほぼいないと思うんですよ。でも、公務員とか大手のメーカーとか、転職する人がほとんど誰もいない業界だと確かに怖いでしょう。

柳川 それで日ごろの業務も、自分で決めることはほとんどなくて、全体でなんとなく決まっていくという組織にいると、自分で決めるということがさらに怖くなるんですよ。

ちきりん 一人旅だって最初は怖いけどやってみるとこんなもんかと思いますもんね。海外一人旅が怖いなら、最初は埼玉県とかに一人旅で行ってみればいいんです。そのうち徐々に、埼玉県もシンガポールも変わらないなとわかってくると、海外一人旅も怖くなくなります(笑)。

 では、最後にもう一度、皆様に質問です。「自分は、2つ目の人生を実現できそうだ」もしくは「もうやっている!」という人は緑を上げてください!

 

柳川 いけそうな方が8割以上ですね!

ちきりん すごいー。これじゃあ私たち、こんな本を出す必要はなかったってことでしょうか?(笑)

柳川 いやいや、本を読まれた結果でしょう(笑)。私自身40代で転職するというのは、ある程度お金が必要と思っていましたが、そんなこともないかもしれませんね。心の持ちようとか、工夫次第で、どんな人にも可能かもという気がしてきました。

ちきりん 働き方って今、だいたいの人が20代前半で選びますが、私自身40代になって振り返ると、どう考えても20代の時よりも40代の方がうまく選べると思うんです。10年、20年働くと、自分が何が得意で何が苦手か、そして何をやりたくて、何はやりたくないか、はっきりわかってくる。

 社会の仕組みについてだって、20代のときとは比べものにならないくらい深く理解でき始める。だから、やっぱり40代は就活のベストタイミングなんだと思うんですよね。

柳川 20代の就活では、その仕事が本当にその人に向いているか、本人も企業側も、正直、何回面接しても、分からないですからね。

ちきりん 今20代の方も、最初から完璧なものを求める必要はないんです。働きながら、自分の望む生活や働き方を見極めればいいし、少しずつ近づいていけばいい。そう思って就活すれば楽ですよね。

柳川 最初から、ステップを踏んで自分を変えていこうと、思っているのといないのとでは、その後の働き方も違ってきますからね。でも、一方で、心理的に変えたくない人も多いんですよね。今までは、会社って、それが自分のアイデンティティみたいなところがあって、自分の一生をささげるれば、向こうも責任もって雇ってくれる、という暗黙の了解がありましたから。その発想をどこまで変えていけるか、そのときにみんな何を頼りに生きていくのか……ということが重要になりますね。

ちきりん 私、みんなが「ちきりんみたいな生き方が羨ましいな」と感じてくれたらいいと思ってるんです。仕事もせずにゲームや韓国ドラマにはまってぶらぶらしていても、みんなにバカにされないっていう姿がありえることを示したい。

 結局、本人が楽しければいいじゃん、気の持ちようひとつで楽しそうじゃん、というロールモデルが示せればいいなと。ひとつの会社に勤め上げて偉くなる以外に、こんな道もあるということがあってもいいだろうと。

柳川 そうですね。やっぱり普通の社会人とか学生からするとそういう人が身近にいなくって、見えないというのがありますね。ロールモデルは重要ですね。

ちきりん もちろん、全員がこんなになっちゃったら困るなという気も若干するんですけど(笑)。 ところで、今後グローバル化が進む中で、身に付けておくべきスキルはありますか?

【次ページ】グローバル化で必要となるスキル

未来の働き方を考えよう

ちきりん・著

定価:1365円(税込) 発売日:2013年06月12日

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