書店の謎

ネット書店や電子書籍とどう違う?
書店員が考える書店の魅力をお伝えします

文: 「本の話」編集部

知っているようで知らない書店のことについて、全国各地の書店員さんが顔出しで回答する「10人の書店員に聞く<書店の謎>」。今回は、町の書店の魅力について答えていただきました。

 先月発表された矢野経済研究所の調査によると、2013年度の電子書籍の市場規模は850億円で、前年度比で19.7%も伸びたそうです。一方で、統計の時期はややずれますが、出版科学研究所が1月に発表した2013年の書籍・雑誌の推定販売金額は1兆6823億円。電子書籍の割合はまだ高いとは言えないようです。そこで、こんな質問をいただいています。

電子書籍の普及は進んでいると思いますか?(愛知県 20代 女性)

内田剛(三省堂書店神田神保町本店)

 進んではいますが急激に伸びているとは思いません。紙媒体の需要は相変わらず根強く共存していくと思います。

高橋佐和子(山下書店南行徳店)

 進んでいると思いますよ。お客様でも、「電子書籍は文字を大きくして読めるから目の悪くなった年寄にとっては便利だ」とおっしゃいながら、本も購入してくださる方がいます。電子書籍が良い人、紙の本が良い人、どちらがいらしても良いと思うのです。本屋にしかないものを、私たち書店員が提供できて、居心地の良い場を作り上げることができれば、きっと、お客様は支持してくださると信じていますから。

 とはいえ、書店の数が減っていることも事実。書店数はアルメディアの調査では1万3943店。前年から298店減と、ほぼ1日1軒の割合で姿を消しているそうです。

新聞記事で読んだのですが、どうして書店はどんどん潰れているのですか?(東京都 40代 男性)

内田剛(三省堂書店神田神保町本店)

 本が売れなくなってしまったからですね。書店は文化の窓口です。ぜひとも足を運んでください。まずは「待ち合わせは本屋で」を復活させましょう。

 そこで今回は、町の書店の魅力について書店員さんに語っていただきました。

ネット書店や電子書籍と比べて、実店舗の強みはなんだと思われますか?(東京都 40代 女性)

栗原浩一(あゆみBOOKS仙台青葉通り店)

 一番の強みはやはり、手にとって見ることができるからだと思います。実際の書籍の装丁や質感、重量感や匂い? などなど。仕事で品出ししていても、いろいろ気になります。あとは、目的の商品以外の発見ですね。お店によって並べかたや売り方が様々なので、面白い本を発掘できる楽しみはリアル書店ならではです。

岡一雅(MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店)

 ネット書店は迷わず最短ルートで購入をするには便利ですが、実店舗は読んでみたい本を探すことに向いています。 平台や棚差しにある、様々な装丁で自己主張する本たちを眺めて、自分の気になる箇所を手に取ってパラパラ読みできる。そういった紙の本が並ぶ売場をあちこち彷徨って、思ってもみなかったものに出会える機会を提供できるのが、実店舗の強味ではないでしょうか。

力の入ったおすすめコーナー。思わぬ発想の繋がりやヒントをもらえるのも書店の棚
の魅力。

 

高橋佐和子(山下書店南行徳店)

「会話」や「コミュニケーション」によって、本に興味を持っていただけることです。入店することで、人と会って笑って話せる場があることで、何だか元気が出たり、読んでみたくなってしまう感覚があることです。パソコン上では会話が出来ませんし、「何が欲しいのか分からない、でも何か読みたい」といったときに実店舗は強いです。私は、お話をすることで、毎回「書店の強みはここだ!」と感じていますので、大事にしたいです。曖昧なタイトルでも、店員皆で捜索したりしますから、お客様と一体になっている感じ、自分たちが探している本のように感じられるところ、見つかったときにお客様とハイタッチする喜びは、実店舗でしか味わえません(笑)。

二村知子(隆祥館書店)

 実際に、手に取って本を見ていただける。感動した本など直接、肉声でお薦めすることができること。隆祥館書店では、その本を書かれた作家さんと読者が、直接感想を伝え合うことができる「作家さんとの集い」を毎月開いています。小説の裏話や、いろいろなエピソードを聞かせていただけます。また、お料理や、ヘルス・ビューティ(医療。美容関係)の先生にご登場いただき実践体験講座も開いています。毎年6/15は、父の日イベントで、絵本の読み聞かせ・木工イベントをしています。普段ふれあいの少ないお父さんとお子さんの思い出をつくる催し。反抗期になっても、「思い出」があればきっと互いに思いやれると思うのです。町の小さな本屋は、本という媒体をただ販売しているだけではなく、本を介して、心と心で繋がることができるところが嬉しく、また喜んでいただけるところだと思います。イベントの予定はこちらでご確認ください。→http://atta2.weblogs.jp/ryushokan/

内田剛(三省堂書店神田神保町本店)

 本はその存在自体が文化です。作家が生み出した文章、言葉だけでなく、紙を触り、造本を楽しみ、表紙やイラストカバーまで全てが作品です。その質感をリアルに体感できるのは実店舗以外にありえません。 

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