2015.04.29 ニュース

出演した前田敦子も気がつかなかった!
謎と仕掛けに満ちた映画『イニシエーション・ラブ』

文: 「本の話」編集部

左から木村文乃さん、松田翔太さん、前田敦子さん、堤幸彦監督。

  150万部を超えるベストセラー『イニシエーション・ラブ』(乾くるみ/文春文庫)が映画化され、4月20日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで完成披露試写会が行なわれました。上映後の舞台挨拶では、主演の松田翔太さんや、恋人役の前田敦子さん、木村文乃さん、友人役の三浦貴大さん、前野朋哉さん、そして堤幸彦監督が製作の舞台裏や作品の魅力などを語りました。

「監督と前田さんにはムードメーカーになっていただいて、楽しく撮影が出来ました」と主演の松田翔太さん。

『イニシエーション・ラブ』は80年代後半を舞台にした青春ラブストーリー。最後の2行で明らかになる衝撃の事実から「映像化不可能」と言われてきましたが、作者である乾くるみさん自らのアイデアで困難を克服。さらに原作にはないエンディングが描かれ、すでに結末を知る読者にとっても驚きの内容となっています。

 カセットテープになぞらえて2部構成となっている本作のSide-Aでは、静岡の街で出会った奥手の大学生の鈴木と、前田敦子さん演じる歯科助手のマユが恋に落ちる物語。Side-Bでは就職して東京に転勤した鈴木が静岡との間を車で往復する遠距離恋愛を続けるが、木村文乃さん演じる会社の同僚・美弥子の都会的で大人な魅力に惹かれていく……。

 鈴木が二股を掛けることになった心境を聞かれた松田さんは、「今だと静岡まで行くのが簡単かも知れないですけど、彼女の元に帰るのに片道で5時間かかったり。その間も電話しかないですし、そう考えると……それは仕方ないのかな。うーん、誠実に自分の気持ちと闘ってきたんじゃないかな」と、苦しい弁明。「ちゃんと(誠意が)伝わってましたよね?」という松田さんに、マユ役の前田さんがすかさず「何のこと?」と切り返す場面も。

 作品のアクセントとなっているのが、森川由加里さんの「SHOW ME」、1986 OMEGATRIBEの「君は1000%」、オフコースの「Yes-No」、寺尾聰さんの「ルビーの指輪」など、物語を彩る当時のヒット曲の数々。映画のなかでも効果的に挿入され、C-C-Bの「Lucky Chanceをもう一度」にいたっては日本テレビの歌謡番組「ザ・トップテン」の懐かしい映像が流れる場面があるので、楽しみにして欲しい。

 実はこの映画の魅力は、80年代の風俗を細やかに再現したこだわりにもあります。スポーティーなシルエットのトヨタ・スターレットや50ccバイクのJOGが走り、テレホンカード式の公衆電話が遠距離の二人を結ぶ。肩パットの入ったDCブランドスーツやソバージュなどのヘアスタイルも、80年代を知る人たちには懐かしくてたまらないはず。

「トリックがある映画というだけに聞こえがちですが、僕らで80年代に生きる男女の恋愛模様を素直に撮れた気がするので、その辺も注目していただきたい」と松田翔太さん。

「あなたは必ず、2回観る」と謳われているこの映画、「私はもう4回観ました」と語るのは前田さん。「奥が深いので、いろいろ気になっちゃって。観れば観るほど、『ここにあった』『ここにあった』って、ちょっとしたスパイスみたいなものを見つけるのが楽しくて。公開されたら映画館でも観たい」という通り、映像の端々に隠された仕掛けを見つける面白さがあります。

松田翔太さんの印象を「明るい人。クールな人かと思っていたんですけど、先頭切ってまとめてくれていました」と語った前田敦子さん。

 堤監督も、「細かい仕掛けはいっぱいあります。アレっと違和感を感じるカットが端々にあって、それを見つけてもらいたい」と語った後、「言いたいんだけどなあ……ちょっと、言っちゃいけない」と逡巡したあげくに、一つだけ明かしたのがバーのシーン。「カウンターに座って芝居をしているんですけど、その周りにいる人間が重大なヒントになっているんです」。これには前田さんも「えーっ、分かんない!」と驚いた様子。「誰かいるとかですか? エキストラさんですか?」と監督にたたみかけたが、ついに謎は明かされず。「もう1回観て分からなかったら、DVDという手もあります」と監督はニヤリ。

 何度でも観たくなる映画『イニシエーション・ラブ』の公開は5月23日(土)。夏を迎える前に観ておきたい映画です。

イニシエーション・ラブ
乾くるみ・著

定価:本体580円+税 発売日:2007年04月10日

詳しい内容はこちら



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