7月16日、第153回芥川賞に又吉直樹さんの「火花」(「文學界」2月号)が選ばれました。受賞決定直後に行なわれた記者会見での模様をお伝えします。
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──最初にひとことお願いします。
又吉 すごくびっくりしたんですが、とにかくうれしいです。ありがとうございます。
──受賞おめでとうございます。
又吉 ありがとうございます。
──まず1つは又吉さんが敬愛してやまない太宰治先生がほしくてしかたがなかった芥川賞を受賞されたことに対してどう思いますか? もう1つは芥川賞を受賞されてこれだけたくさんの報道陣が集まって、おそらく明日からも取材攻勢が始まると思いますが、その中で今後、又吉さんの作品を読んで文学の世界に入ってきたい、つまり又吉さんが太宰に憧れたように文学の世界に入ってきたいという若い人もいると思います。その人たちに対するメッセージを。
又吉 僕が小説を読み始めたのが芥川と太宰から。太宰が芥川賞を取れなくて川端康成に手紙を書いたとかいろいろ聞いていたんですが、その状況と今の時代は全然違うのでなんて言っていいか。ただ、いつもテレビで太宰好きとか勝手なことを言ってるんですが、すごく申し訳ない気持ちになって、三鷹の禅林寺にお墓参りに行っています。今月は2回か3回くらい行きました。2つ目の質問に対しては、誰かが僕の小説を読んでうんぬんというよりも、世の中にはおもしろい小説がたくさんあるし、人によって好き嫌いあります。だから僕の小説が全然合わない人が他の人の小説を読んで書きたいと思う人もいると思うので、僕の小説を読んで合わへんかったから小説を読むのやめようとなるのんだけは、その責任だけはみんなで背負っていきたいというか、はい。そうですね。僕がジャッジしないということです。僕の作品を読んでいただけるのはうれしいですけど。本を100冊読んだら絶対本好きになると思うんですけどね。最初の2、3冊は難しくてよくわからん本もあるんですが、100冊読んだら好きになると思うんで、そこまで頑張ってほしいですね。
──今、金屏風の前に座っていらっしゃるんですが、又吉さんの作品の中に確かこういったセリフがあります。「万事整った環境になぜ僕達は呼ばれたのだろうか」という。今金屏風の前に座っていらっしゃる、整った環境にいるご自分の今のお気持ちを教えていただけますか?
又吉 そーですねえ……なんか嘘みたいな感じですけど、ええ。似合ってますかね? 金屏風。
──少し戸惑っていらっしゃる表情に見えるんですが。
又吉 こんなに緊張することはないですね。
──今回芥川賞はダブル受賞ということですが、どう思われますか?
又吉 もう1人の芥川賞を受賞した羽田さんがいろんなメディアで『火花』を紹介してくださっているんですが、やっぱりプロの作家さんがちゃんと偏見なしで僕の作品を扱っていただけることはすごくうれしいことですね。
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