切なくも希望に満ちた、子どもたちの恢復(かいふく)と再生の物語
2016年10月、『マルドゥック・スクランブル』や『天地明察』を経て、冲方丁さんが初めて挑んだ現代“思春期”ミステリーが脚光を浴びました。少年時代の体験が生んだ奇跡の密室劇『十二人の死にたい子どもたち』です。
「追い詰められた子どもたちが初めて“世界”に触れた瞬間を描いた本作は、今を生きる私たちに希望をくれる」貴志祐介氏もそう激賞し、第156回直木三十五賞にもノミネートされ話題になった本作は、姿形も年齢、性別も違う十二人の子どもたちが廃病院に集まってくるところから始まります。
建物に入り金庫をあけると中には1から12までの数字が並べられています。この場へ集う十二人は、一人ずつこの数字を手にとり「集いの場」へおもむくのがルール。初対面同士の子どもたちの目的はみなで集団自殺をすることでした。
しかし、十二人が集った部屋のベッドにはすでに一人の少年がいました。彼は一体誰なのか、この中の誰かが彼を殺したのではないか、こんな状況のまま計画を実行してもいいのか……。
不測の事態を前に、議論し、互いを観察し、状況から謎を推理する子どもたち。初めて人とぶつかり、対話していくなかで彼らが出す結論とは。そして、この集いの本当の目的とは――。
子どもたちが口にする「死にたい」の奥底に眠る本音に迫り、対話の尊さを描いた本作を、『もっけ』や『ネクログ』といった作品で知られるマンガ家・熊倉隆敏がこのたび完全マンガ化。2017年11月7日にコミックス第一巻が発売になりました。
原作者・冲方丁も絶賛!
「閉鎖空間で十二人の子どもが延々と議論をするという、ともするとマンガとしては地味になってしまいそうなものを、緊張感をもって、しかも、時に笑いを取り混ぜて描いていて、原作者という立場ながらそのおもしろさに衝撃を受けました。原作をお読みになっていない方はドキドキしながら、お読みになった方はニヤニヤしながら読んでいただければと思います。熊倉版『十二人の死にたい子どもたち』をぜひご堪能ください」