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追悼・竹本住大夫師匠。“文楽の鬼”の最期の言葉は優しかった

追悼・竹本住大夫師匠。“文楽の鬼”の最期の言葉は優しかった

文:樋渡優子

『人間、やっぱり情でんなぁ』(竹本住大夫 著)

出典 : #文庫解説
ジャンル : #ノンフィクション

『人間、やっぱり情でんなぁ』(竹本住大夫 著)

 ずっと付き添っておられた光子奥様には、面会時間が終わる時刻に近くなると、時計を見て、「もう七時になるで……」と帰るよう促されていたと。「いま思えば、泊まってやったら良かった思いますけど、病院の規則で泊まりは出来ませんで……」と、どこまでも師匠思いの光子奥様です。

 私が最後に電話でお話ししたのは四月十日、文庫のお打合せでしたが、お医者様にお稽古も控えるよう言われて、「弟子の稽古もせんと、寝たり起きたりしてても、そんな生活したことないしなァ……」と少し心細げなご様子で、師匠が生き甲斐にされていた“後進の指導”が思うに任せぬ状況になっておられるとは、「さぞ、お辛いことだろう……」と胸が詰まる思いでした。

 それから半月ほどしてのご逝去の報でしたが、ご家族のお話を伺いながら、「師匠は最期まで、竹本住大夫としての人生を全うされたのだ」と思いました。この本にも出てきますが、楽しみといえば、たまに温泉に行くぐらいで、あとは文楽と浄瑠璃に彩られた住大夫師匠の一生です。

人間、やっぱり情でんなぁ
竹本住大夫

定価:1,870円(税込)発売日:2014年10月14日

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