書評

日本のハードボイルド史上、こんなにカッコいい女性主人公はいない!

文: 内藤麻里子 (毎日新聞社編集委員)

『魔女の封印』(大沢在昌 著)

『魔女の封印』(大沢在昌 著)

 日本のミステリー、ハードボイルド史上、こんなにカッコいい女性主人公はちょっといない。今回もラストはあっけにとられた。この女はこんな決着の仕方を選ぶのか。しかし、これしか考えられないなという展開。やはり、魔女水原から目が離せない。

『魔女の笑窪(えくぼ)』(二〇〇六年刊、文庫は〇九年)『魔女の盟約』(〇八年刊、同一一年)に続くシリーズ三冊目となるのが本書『魔女の封印』(一五年刊)である。

 第一作『魔女の笑窪』の最初の何章かで、彼女のライフスタイルを垣間見ることができる。午後五時に起きて、東京・麻布台にある事務所に出るのはたいてい午前零時過ぎ。闇のコンサルタントとして裏社会を生きる。駐車場に並ぶのはお抱え運転手がハンドルを握るメルセデスにポルシェ九一一、アコード。闇の投資も辞さず、金に不自由はない。必要に応じて拳銃を手に入れ、ためらわず引き金を引く。男の性格を一目で見抜く力を生かし、タフに冷徹に怜悧に仕事をこなすクールビューティー。気晴らしは高級リゾートでの男遊びとくる。



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