━━日本の未来を懸命に考え、憲法制定に携わった佐藤達夫の情熱に胸を打たれました。現在、実際に改憲の議論も起きている中で、描きにくかった部分はありますか?
「政治的アジテーションにならないことに注意を払いましたね。改憲論者であれ、護憲論者であれ、だれが読んでもその時代に起きた出来事が正確に伝わるように、中立の立場から書きました。
小説って、本来はいかがわしいものですから、物語にしようとすればするほど、ある立場に寄っていってしまう。善人と悪人を配置したほうが盛り上げやすいからです。すると、史実から外れていくし、ある特定の人にしか受け入れられないものになってしまう」
━━憲法の問題を、現代に暮らす私たちはどう考えていけばいいのでしょうか。
「戦前と戦後の日本人は、憲法に対する向き合い方がよく似ていると思います。
戦前は、“皇祖の遺訓”を明らかにした『不磨の大典』であるから、決して改正してはいけないという意識が大きかった。戦後も似ていますよね。
本来であれば、国民が主権者なのですから、国民自身が、システムそのものが現代にあっているかを考えるべきではないでしょうか。
たとえば、結婚についても、『両性の合意』とありますが、LGBTのことを考えたら、もっと議論が起きてもいいのではないでしょうか。
極端かもしれないですが、たとえば、中学生くらいになったら、『自分の憲法試案』を考えるくらいの気概があってもいいのでは? 憲法とは、自分が暮らす国のシステムの根幹ですからね」
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