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<唯川恵インタビュー>猫に癒される“ほっこり”短編集

<唯川恵インタビュー>猫に癒される“ほっこり”短編集

「オール讀物」編集部

『みちづれの猫』

出典 : #オール讀物
ジャンル : #小説

唯川さんは恋愛小説の名手としても知られるが、本作には“老い”や“死”のテーマも含まれている。歳を重ねた男女の、猫を通じた交流が描かれる「残秋に満ちゆく」では、恋愛とも友情とも違う二人の関係性が穏やかな筆致で丁寧に綴られている。

「これまで恋愛小説もずいぶんと書いてきました。私も60歳を超え、これからは人生を狂わせるような激しい恋の物語ばかりでなく、恋愛の向こう側に辿り着いた人々、“男と女”というのではない人間同士の物語も書きたいと思うようになりました。それにいつまでも恋愛で揉めるのも、少し体力不足になったかなって(笑)。若い時は恋愛で失敗すると『私の人生もう駄目かも……』とかなっていたけれど、『40年経てば大丈夫だよ』と言ってあげられる年齢になりましたね」

幼いころ家を出て行った父と娘が、父の病床で再会を果たす「最期の伝言」、ある1匹の猫が事情を抱える人々の家を転々としながら、その傷を癒していく「運河沿いの使わしめ」など、どの短編も人生の辛い時期にそっと光が当たるような物語になっている。

「“ほんわか”と終わらせられるように、救いがあるように意識しました。現実はそう甘くないことはよく分かっています。だからこそ、小説くらいロマンチックなものや、読んだ後に安心できるもの、希望が持てるものであっても良いのではないでしょうか」

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