THE ALFEEのリーダーとして数多くのラブソングを手がけてきた高見沢さんが、小説家・髙見澤俊彦として贈る『秘める恋、守る愛』は男女と家族の愛の物語。ロックと青春が弾けるデビュー作『音叉』とはまた異なる、しっとりとした大人たちの世界が広がります。
大企業の重役を務める直樹と妻の有希恵は1週間のミュンヘン旅行にでるが、本当の目的は、留学中の娘に帰国を促すこと。だが、いざドイツに下り立った直樹の心を占めるのは、30年前の大学生時代、ドイツ留学中に出会った恋人のアンナの面影ばかり。心ここにあらずの夫の隣で、有希恵もまた秘密を抱えていた。実は不倫相手の島村と滞在日程が重なるように示し合わせていたのだ。そして、娘の一恵にも、両親の訪問中に打ち明けるべきか否か悩んでいる、ある秘密があった……。
同じ家に暮らしていてもすれ違う親子、同じベッドに寝ていても心は離れた夫婦。そんな三人が、旅先だからこそさらけ出される互いの心に揺れ動く1週間を大人の筆致で描き出します。髙見澤さん自身が何度も訪れているというドイツの風景も美しく、旅情あふれる1冊です。
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