ミステリやSF、ホラーなどのジャンルで多くの作品を世に送り出してきた小林泰三さんが、シニカルな笑い溢れる異色の企業小説を執筆した。
会社内部の常識は、外の非常識
「以前は兼業作家で、サラリーマンをしながら、小説を書いていました。結局、20年ほど勤めたでしょうか。その話を編集者にしたところ、会社を舞台にした小説を書いてみてはどうか、と言われたのがきっかけです」
握手会で起こった事件のせいで、アイドル活動ができなくなっていた河野ささら。
そこに、ある大企業からの社外取締役のオファーが。
「日本の企業の中でも、創業家が君臨しているようなガチガチの<会社>に、アイドルのような<異物>が入り込んだら、物語が面白く動いてくれるのではないかと思いました。
会社には、その会社独自の慣習や文化が存在していますが、それは、内部では当たり前に思えても、外部の人から見ると、奇妙なことや非常識というものがたくさんあります。
ささらの目を通して、会社というものを見た時、何が見えてくるのかを描きました」
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