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「“下手でいいからちゃんとやる”がアイデアに繋がる」 『プリンセスメゾン』の池辺葵さんが“ストーリーをあまり考えない”理由

「“下手でいいからちゃんとやる”がアイデアに繋がる」 『プリンセスメゾン』の池辺葵さんが“ストーリーをあまり考えない”理由

池辺葵さんインタビュー#2


ジャンル : #コミック・コミックエッセイ

『私にできるすべてのこと』(池辺 葵)

橋本環奈ちゃんの白目

──ストーリーはどうやって考えているのですか。

池辺 私、ストーリーをあまり考えないんです。日常生活で料理や洗濯や掃除したり、お風呂に入ったり、寝転がってぐうたらしている時に浮かんでくるものを描くイメージです。ああ、でも私、ぐうたらするのが得意なので、ぐうたらしている人を描くのはうまいんじゃないかと思います(笑)。

──クレーム処理に疲れて、白目で休憩するリリィさんとか(笑)。

池辺 リリィさんのシーンは、たまたま見ていたテレビドラマで、橋本環奈ちゃんがかなり長い間“白目”の変顔をするシーンが衝撃的で。実際自分でもやったら、白目に夢中になってきっと気晴らしになるだろうと想像して描きました。

 流れにまかせて描くので、流れにまかせられなくなっちゃうと、すごくつまらない話を描いてしまうんです。ムリして自分で考え出した話は自分でも本当につまらないので、自分で作っちゃだめなんだなと自覚しています。

──ひたすら“降りてくる”のを待つんですね。

池辺 私は出不精なんですが、たまに散歩をした時に見上げた空がきれいだと、ぶわーっとシーンが浮かんだりして。そういうシーンが浮かぶと、そこに向かって描いていくこともあります。

 キャラクターもだいたい1人歩きしてしまうことが多いです。今回、田岡さんのキャラクターが途中から変わってしまったのも、「記憶の取り出し」というイメージが浮かんでしまい、キャラクターを一新しなくてはいけなくなったのが原因です。当初の設定が好きだったので、自分で考えていたら変わらなかったかもしれません。

──『どぶがわ』も流れを一切決めずに描いた作品だとお聞きしました。

池辺 はい。『どぶがわ』は、自分では一切先を考えず、浮かぶままに描いていました。一話一話勝手にシーンが頭の中に流れてきたので、絵をネームで切るだけで、すごく早くできたんです。自分は何もしない、流れにまかせるというのが1番いいと私は思っているんですけど、シーンが浮かんでこなくて自分で必死に考えてしまうと、自分で読んでいても「これ苦しくなるな」という流れになっていくのでボツ、ボツってなります。

単行本
私にできるすべてのこと
池辺葵

定価:1,045円(税込)発売日:2021年03月24日

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