- 2021.03.23
- インタビュー・対談
「“下手でいいからちゃんとやる”がアイデアに繋がる」 『プリンセスメゾン』の池辺葵さんが“ストーリーをあまり考えない”理由
池辺葵さんインタビュー#2
ジャンル :
#コミック・コミックエッセイ
薫っていたソメイヨシノの葉っぱ
──今回の作品も、“降りて”きたのですか。
池辺 今回は、最後の廃棄所のシーンが浮かんできたので、そこに向かって描いていきました。自死する人の話を描いたのも、浮かんできたからです。
とはいえ、自死はいけないという強い思いが私自身にあって、「これを描いてしまったら自死を肯定することになるのでは」という葛藤はありました。でも、世の中には自死した方の家族もいますよね。
もちろん、自死した方にも泣いたり笑ったりしてきた人生はあったので、その人生に重点をおきたいと思って、自問自答しながらですが、描くことにしました。表現に足りなさはあったと思いますが、AIという設定にしたことで、結果的に命がないものから命がある者を見つめることができ、より命のことを描けた気がします。
──和音が枯葉に向かって「発光している」というシーンは、枯葉にも命があったことを肯定しているように感じ、励まされます。
池辺 散歩でソメイヨシノの葉っぱを拾って帰ってきたことがあるんですが、その落ち葉がずっと部屋で薫っていたんです。香り高い桜のいい匂いがして。落ち葉でも香があるというのが生命体の発光してることに繋がって、そういうのが描けたらいいなと思って描きました。
でも最近はパッと浮かんできても素直に描けず、「こんなの面白くないよな」と自分を不信するようになってしまって。ちょっとでも自分を疑うと手もまったく動かなくなって描けなくなるので、うそでもいいから自分に自信を持った方がいいんだなと、自信の大事さを感じました。
──コロナの影響で旅行にも行けず、インプット不足なのでは。
池辺 好きな時に気ままな一人旅ができなくなったのは関係あるかもしれません。ふらっと別の地域に行ってぼんやりして帰ってくるだけなんですが、見る景色が変わるのは何かいい刺激になってる気がします。気軽に行けるようになったら、またぶらりとどこかへ出かけてみたいです。
(取材、構成:相澤洋美)
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