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【TBS系「王様のブランチ」に登場!】「今の時代を生き抜くには?」「救われること、離れること」――新直木賞作家・垣根涼介さんと永井紗耶子さんが受賞作に込めた「現代性」

【TBS系「王様のブランチ」に登場!】「今の時代を生き抜くには?」「救われること、離れること」――新直木賞作家・垣根涼介さんと永井紗耶子さんが受賞作に込めた「現代性」

TBS系「王様のブランチ」に登場!


ジャンル : #小説

7月19日に選考会が行われ、垣根涼介さんの『極楽征夷大将軍』(文藝春秋)と永井紗耶子さんの『木挽町のあだ討ち』(新潮社)の歴史・時代小説2作が選ばれた第169回直木賞。
翌日、新直木賞作家のお2人は揃ってTBS系『王様のブランチ』のインタビューを受け、22日土曜日、その模様が放映された。

 

『極楽征夷大将軍』(垣根 涼介)

垣根涼介さんは、作家としては2000年のデビュー以来、『ワイルド・ソウル』『午前3時のルースター』など、現代を舞台にしたエンターテインメントやミステリー小説を書き続けてきたが、この10年は歴史小説に挑み、『信長の原理』『光秀の定理』など名だたる武将を題材にした作品を手掛けてきた。
今回の『極楽征夷大将軍』で描いたのは、室町幕府を開いた足利尊氏。
なぜ、垣根さんは足利尊氏を描こうと思ったのだろうか?

尊氏を資料で読んでみると、まったく偉人ではなかった

垣根さん「いわゆる教科書では、尊氏は歴史上の偉人っぽく描かれています。でも、資料で詳しく読んでみると、少なくともプライベートでは、まったく偉人ではなかった。むしろ、ろくでなしで、だらしなくて、何も考えていない人(笑)。
そんな人としてダメな部分が多い尊氏でも、天下をとることができた。では、どうやって天下を獲ったのか? そこを描いていくのは面白いかな、と思ったんです」

向上心がなかった尊氏は、足利家の家督を継ぐ際も「他になりたいものがなればよい」といやがってみたり、将軍になった後も「そもそもわしは将軍の器ではない」と言って、実務は弟・直義に任せっきりだった。
でも、尊氏には、「立場や利害によって人を見ない」という美点があった。だからみんな安心して、尊氏にすり寄って来る。尊氏のもとに集まってくる。そんな不思議な魅力を持つ人物だったからこそ、苦難に直面するたび、弟・直義や高師直など仲間たちが力をあわせて尊氏を盛りてて、乗り越えていく。
垣根さんは、この物語を「今描くこと」に意味があった、と感じている。

垣根さん「なぜ今の時代に、この『極楽征夷大将軍』を書こうと思ったか。実はこの作品で描いた鎌倉時代末期から室町時代創成期と同じように、今の時代も激しく流動していて、その中でわりと自分自身の信念を持って生きることは、かなりハードモード、難しい世界になっている、と感じています。むしろ、フワフワしているような人間、尊氏のような人間が、わりと(今の時代を)生き残っていくように思っています」

今の時代を生き抜くヒントが詰まった歴史小説、といえるだろう。

 

『木挽町のあだ討ち』(永井 紗耶子/新潮社)

一方、永井紗耶子さんの『木挽町のあだ討ち』は、人間ドラマとミステリー、2つの要素を持つ時代小説である。

物語の舞台は江戸の木挽町。芝居小屋の裏手で武士菊之助が、父親の仇である作兵衛を討ち取りあだ討ちを果たすのだが、その2年後にひとりの侍が、あだ討ちについて詳しく探るため木挽町にやってくる。その侍があだ討ちの目撃者から一人ひとりにインタビューをしていく形式で物語が進み、徐々にあだ討ちの真相が明らかになっていくという構成となっている。インタビュー形式なので、読者自身が話を聴いているような気持ちにさせられる。

いまある現状から離れることで、すごく救いになることがある。

永井さん「それは一つの狙いでした。RPGじゃないですけど、読者の方が主観で、自分の目で見ていくような感じでたどっていくことができると、スッと木挽町という町に入っていける、と思いました」

さまざまな話から浮かび上がってくる、菊之助と作兵衛の思いもよらない関係。
菊之助の心中の、「作兵衛を殺したくない」という思いの真意は......?

永井さん「この作品の中にいる人たちは、壁にぶつかったり、迷いがあったりしていて、それでも誰かに助けを求めることで、心が楽になって救われることがある。私自身もそういうことがあったし、いまある現状から少し離れることがすごく救いになることがある、と私は信じているので、もし手にとってくださる方がいたら、そういうふうに楽しんでいただけたらと思っています」

直木賞選考委員の浅田次郎さんは選考会後、両作について「(『極楽征夷大将軍』は)南北朝時代の長い歴史的時間を巨視的に見て、足利幕府の成立の経緯を丁寧に小説として表現した重厚な力作」「(『木挽町のあだ討ち』は)理不尽な社会に対する批判も込められ、細やかで繊細、配慮が行き届いている」と評している。

重厚と繊細、好対照な作風の2作だが、両作ともに今、この時代に描きたかった、という作者の思いが込められた作品、といえるだろう。

 

単行本
極楽征夷大将軍
垣根涼介

定価:2,200円(税込)発売日:2023年05月11日

電子書籍
極楽征夷大将軍
垣根涼介

発売日:2023年05月11日

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