“究極の選択”ラストで読者を震え上がらせた『花束は毒』に続き、織守きょうやさんが「同じくらい大きな、でも全く別方向の驚きを」と満を持して仕掛ける書下ろし新作『キスに煙』。早くも書店員さんたちから「やっぱり凄い!」と大反響!
フィギュアスケートの世界で競い合ったライバル・志藤に、恋心を秘める元選手の塩澤。今も現役で活躍する志藤との友情だけで満足していた塩澤だが、ふたり共に因縁のあるコーチが不審死したことで猜疑心が漂い始める。
〈彼が殺したのか? 俺のために――。〉最終章で見えてくる「もうひとつの物語」が余韻を残す、これまでに無いロマンス×ミステリーです。
宮脇書店韮崎店 谷戸美奈さん
不穏な冒頭を忘れさせるかのような心情の描写に、その人柄に、こちらも絆されてしまったと思う。報われることを望まず、慎ましく恋心を飼い慣らす姿がいじらしくてたまらなかった。
恋も事件も急展開する終盤、読者はまるでジェットコースターに乗っているような振り回されっぷり。色々な意味で絶叫必至。
読み終えてみれば、胸一杯に甘くやさしい後味が。それでいて、ほんの少し苦さが口の中に残るような。
こんなにも愛情いっぱいのサスペンス劇があったっていい。
くまざわ書店錦糸町店 阿久津武信さん
ずっと同じ道を究めようとする者と、途中で夢の形を変えた者。お互いの思いの深さが熱を帯びてこちらに伝わってくる。『花束は毒』と真逆の試みが見事にハマった必読書。
未来屋書店名取店 髙橋あづささん
冒頭の数ページで「あ、私の好きなやつ」とギュッと心を持っていかれました。
なんてせつなくていじらしくてカッコいいのか。詩生がいじらしくて応援したくなりました。自己犠牲の塊みたいで早く昇華させてあげて~と願わずにはいられませんでした。
最後まで読んで、帯のワードが正にって感じでひえぇってなりました。
確かに致命的ですね。
うさぎやTSUTAYA作新学院前店 信賀由紀子さん
フィギュアスケートの選手としてずっとライバルであり親友同士だった塩澤と志藤。引退してデザイナーとなった塩澤の、変わらず第一線で活躍する志藤への想い。英語タイトルの「Kiss and Cry and Lie」が内容にピッタリでした。友情ものか恋愛ものかと思っていたらサスペンスもあってドキドキでした。初めて読んだ作家さんでしたがとても良かったです。
岡本書店恵庭店 南聡子さん
スポットライトを浴び続ける者、別のスポットライトを見つけた者、スポットライトを見失ってしまった者、それぞれの葛藤が痛いほどよく描かれていた。
明林堂書店南宮崎店 河野邦広さん
時代の双璧を成した二人のスケーター。一人は引退し別の世界へ、一人は今なお現役で輝きを放ち続けていた……。
各々の、それぞれの時期での選択、葛藤が粒やかに描かれる中で、謎とされたある出来事が明かされていく。部外者が距離を置いてみればただのすれ違いと一蹴されそうなコミカルさを感じる一方、すれ違いや勘違いの危うさをリアルに示していく。
急転直下の解明と結末が安堵をもたらす逸品。
アバンティブックセンター宝塚中山店 前田寿子さん
読み始めの不穏な出来事がどこに繋がるのかわからないまま、どんどん話が進み、忘れかけていた頃に急展開してドキドキしました。
同時代を競い合ったフィギュアスケーター3人のそれぞれの視点から、物語が語られるのですが、一人称が使われず、あくまで登場人物と第三者の視点といった形で話が展開していくところが、新鮮でした。
世間の個人の見方はいい加減なもので、人の内面は儚く脆い。たった1人でいいから、心ごと抱きしめてくれる人の存在を得ることが、生きる糧になり得る。たとえ、失うかもしれないという不安がつきまとうものであっても。
とても誠実な人間愛を感じました。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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