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“青春の気まずさ”に向き合った恋愛小説 大学生読書会(前篇)

“青春の気まずさ”に向き合った恋愛小説 大学生読書会(前篇)

『プルースト効果の実験と結果』読書会


ジャンル : #エンタメ・ミステリ

「高校生直木賞」のOB・OGを中心としたメンバーに集まってもらい、佐々木愛さんの『プルースト効果の実験と結果』の読書会を開催。4篇の短篇を収録した本作。ご本人を交えて、感想を聞かせていただきました。

自分だけの思い出、自分だけの痛み

Aさん 表題作の「プルースト効果の実験と結果」(以下、「プルースト効果~」)、すごく好きでした。青春って、明るくて素晴らしいものというイメージがありますが、実際は、自意識過剰だったり、気まずいことも多かったり、ポジティブではない面もあると思うんです。この小説でも、憧れていた人が実は思ってたような人ではなかったとか……そういう“青春の気まずさ”に向き合っている感じが、堪らなかったです。

Bくん 僕は読みながらいろんなところにメモして、どこから感想を言っていいかわからないほど(笑)。僕が好きなサガンの『悲しみよこんにちは』の中に、「私はキスの喜びも知った。こうした思い出の数々に、名前などはつけまい」という一節があるんですけど、読みながらそれを思い出したんです。初恋というものを初恋と名づけたくない、自分だけの思い出、自分だけの痛みとしていたい、という感じに、すごくグッときました。

Cくん 「プルースト効果~」を読んだらとても面白くて、友達に「すごい小説を見つけたから読んでほしい!」って長文で送りつけました(笑)。同じクラスになった男子の呼び方が、小川くんじゃなくて「小川さん」っていうのがすごくよくて。

Aさん すごくわかる! こういう人いたよね。地味なんだけど、個性的な人。

『プルースト効果の実験と結果』
 

Cくん 小川さんが「プルースト効果の実験」をしてるのも変で、でもそれがすごく楽しそうで。ラストの主人公の心の動きも、すごくいいなぁ、と思いました。

 

プルースト効果、という言葉を教えてくれたのは、三年生になってはじめて同じクラスになった小川さんだった。(中略)彼は、受験勉強をはじめる前に必ず「たけのこの里」というチョコレート菓子を食べるのだと言った。(「プルースト効果の実験と結果」)

 

Bくん 僕は小川さんのイメージを、“インテリな中村倫也”ってメモしていました(笑)。他の作品にも「小川さん」みたいな、ちょっと変な人が出てきますが、何か意識されているんですか。

佐々木 私が「ちょっとズレた人間」フェチなのかもしれません……。

Cくん 「プルースト効果~」の構成は、最初はどの部分があったんですか。

佐々木 「きのこの山」と「たけのこの里」がセットだ、というところです。

Dさん 「きのこ派」か「たけのこ派」か、みたいな言い方はしますけど、セットだっていう捉え方はあまりしないですよね。たしかにスーパーでは並べて売ってあるのに。

単行本
プルースト効果の実験と結果
佐々木愛

定価:1,485円(税込)発売日:2019年09月12日

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