──ご自身の酒の呑み方も変わってきましたか?
勝谷 週刊誌をやってるときには、「自分は酔わずに相手を酔わせる」という呑み方を教え込まれました。もちろん、取材相手から話を聞き出すためだけれど、酔わなければ楽しくはない。そんな呑み方をしているときは、酒が一番楽しかった頃に戻りたいと思ってましたよ。
──それはいつ頃ですか?
勝谷 十六~十七歳くらいかなあ(笑)。
──今では?
勝谷 楽しんでますよ(笑)。
勝谷流「良い店」の見分け方は?
──政治や経済の辛口コラムニストという印象の強い勝谷さんですが、酒と食についてはフリーになった直後から書かれていますよね。
勝谷 じつは、フリーになった当初は、食い物の話は書くまいと思っていたんですよ。食い物のことを書くのは卑しい、という観念があって(笑)。旅を書いていこうと思っていたわけです。ところが、『FRIDAY』から食い物を紹介する巻末のカラーページ連載の仕事を頂いた。これが、ギャラも良くて(笑)。「高いものを美味しそうに書く人はいくらでもいるけれど、安いものでも旨(うま)そうに書く人は他にいない」なんておだてられて、いつの間にか酒や食い物のことを書くようになってしまったというわけです。
──今では、全国四十七都道府県すべての酒蔵を回るまでに……。
勝谷 鹿児島は唯一日本酒の蔵のない県なので、焼酎の蔵を訪ねましたが、その他の全都道府県は日本酒の蔵元を回りました。蔵というのはそもそも地域の要(かなめ)なんです。蔵元は農家から現金で米を買い、地元の若者を雇い、そうやって地域の経済が成り立ってきた。つまり蔵は雇用、環境、農業の要。だから、蔵元というのは日本の良質な保守層であり、蔵を巡ることは日本の良質な保守を巡る、ということなのです。
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