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〈特集〉浅田版「新選組」──新選組が出ていったときはスッとしたそうです

〈特集〉浅田版「新選組」──新選組が出ていったときはスッとしたそうです

「本の話」編集部

八木喜久男(八木家十五代当主)

出典 : #本の話
ジャンル : #歴史・時代小説

──新選組について、ほかに何か聞いていらっしゃいますか。

 土方の話は、あまり残っていませんね。近藤勇の話はいろいろ聞いていますけど。

──たとえばどんな話ですか。

 近藤も芹沢も、刀が趣味で、好きだったとかね。

──お梅については何か残っていませんか。

 ああ、お梅はしょっちゅう台所に来ていたそうです、芹沢がいるときは。その当時、新選組が使っていたお碗や杯、お膳などもまだうちに残っています。

──芹沢鴨の暗殺事件があった前と後とで、八木家の様子は変わりましたか。

 芹沢派が粛清されてから、近藤勇以下、土方はじめ近藤の側近たちが移り住んできましたが、それ以外には取り立てて変わったことはなかったみたいですね。それより新選組そのものが変わったのと違いますか。ものすごくアクティブな組織になっていきましたからね。

──新選組は二年ほど八木家にいたあと、西本願寺に屯所を移します。新選組との縁は切れたんでしょうか。

 いやいや、本部が向こうへ行ってからも、まだみんなしょっちゅうここへ来ては、酒を飲んで帰ったらしいですわ。

──八木家の収支はどうだったんでしょうか。

 屯所を引き払う際、土方が、部屋を借りた寸志です、といって源之丞おじいさんに包みを出した。おじいさんは辞退したんですが、どうしてもというので受け取ったところ、中には五両しか入っていなかった。そこでおじいさんはその五両で酒樽を買って、西本願寺の屯所に届けたという話です(笑)。

──二年以上も厄介になっていたのにたったの五両! それにしても、源之丞さんの度量もたいしたものですね。

 新選組が西本願寺に移ったとき、おじいさんはしみじみ「やれやれ、スッとした」といったそうです(笑)。

──実感がこもってますね。きっと本心からそう思われたんでしょうね(笑)。

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