──そのままマンガへの興味が深まっていったのですか。
ブルボン ちょっとだけぶれるんです。ドラえもんのブームはアニメのブームになって行ったと思うんですが、僕もアニメが好きになって。でも小学校高学年、中学、高校と大人になるにつれて、マンガの固有性みたいなものを意識するようになるんです。この本の『パーマン』の回で触れたんですが、アニメはより大勢を相手にするものだから、マンガより表現はマイルドになる。逆にそのことが、マンガというもののエッジを浮き立たせたとも言える……というとかっこいい言い方だけど(笑)。「マンガやアニメが大好き」とひとくくりで語られることも多いけど、その二つは違うものだし、正確な言い方ではないと思ってます。ガンダム以後、どんどん難解に深刻になっていったような気がして、アニメからは気持ちが離れて行きました。
──でもマンガへの気持ちはそのまま離れずに。
ブルボン そうですね。九〇年代、大学生になる頃は、世界がマンガを教養としてとらえるようになってきて。映画で「小津が」とたとえられるように「つげ義春が」とたとえられたりする時代になった。マンガの表現をさらに拡張していこうという動き、まだ誰もやっていないことをアートのようにやる、みたいな動きも出てきて、「おおすごい」と思って見ていました。
──その時点ではまだ “落ち穂拾い”的な見方はしていなかったんですね。
ブルボン ちゃんと感動すべきものに感動していた気はします。そのときからコマのはしっこも見ていたと思うけど。
──今のような少し違う視点からマンガを読むようになったのはいつからなのでしょう。
ブルボン いつからこんなことになってしまったんだろう(笑)。たぶん、マンガそのものがもろ手をあげて喝采されて、その声が強くなっていくのと反比例するように僕は冷めていったんだと思います。 小学校の頃は「マンガばっかり読んで」というプレッシャーがまだあった。僕が『鉄腕アトム』全巻、兄が藤子不二雄の『ドラえもん』以外の全作品――『バケルくん』とか『21エモン』とか『パーマン』を駅前の本屋で注文したことがあって。後日取りに行ったとき、本屋のおじさんに「マンガばっかり読んで」っていやみを言われたんですよ。売るほうにすら、そういう気持ちがあった。
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