本の話

読者と作家を結ぶリボンのようなウェブメディア

キーワードで探す 閉じる
寝ころんで読めるマンガコラム

寝ころんで読めるマンガコラム

門倉 紫麻

『マンガホニャララ』 (ブルボン小林 著)

出典 : #本の話
ジャンル : #趣味・実用

「マンガばっかり読んで」の二〇一〇年バージョン

著者似顔絵・藤子不二雄(A)

──本書は「このマンガがすごい!」のような、ランキング形式でマンガを紹介するガイド本ともまったく違う本ですね。

ブルボン   「このマンガがすごい!」で一票も入らなかったものからベスト1を選ぶ、という回がこの本にあるんですが、マンガにランキングをつけるという行為への批評をしたかったんですよ。もちろんたくさん評が入るマンガのおもしろさもあるけど、一票も入らなくても優れているマンガはある。僕は俳句をやるんですが、俳句の場合、全員が×をつけたものって「これはだめだね」とどこまでも共通した認識が持てるんです。でもマンガはその場の全員が×をつけたとしても、ダメなマンガっていうものはない気がして。僕個人の中には優劣があるけど、違う誰かは評価するかもしれない。

──ブルボンさんの思う優れたマンガというのは?

ブルボン  それも、今回単行本にまとめてみたら浮き出ましたね。止まっている一枚の絵として見たときはつまらないのに、連続してページをめくっていくとおもしろいものが優れたマンガだと思う。ページをめくることで出る躍動感や臨場感のために、あらゆる手段が駆使されていることを望むんだなあと。それと、マンガは愉快なものであってほしいという願いは勝手にありますね。たとえ悲劇を描くとしても。

──本書でも手塚治虫が「たかがマンガ」と言わせるために腐心したことのすごさを語っていますね。昨今の、マンガを文化的財産としてとりあげる風潮には賛同できない?

ブルボン   たしかに文化としてすばらしいんですけど……やっぱり、なんか「あなどりたい」んですよね。だって読んでいるこっちが立派じゃないから。マンガってごろんとしながら読むものでしょう。「そういうものがマンガだろ?」という気持ちがずっとある。でも今はもう誰も「マンガばっかり読んで」とは言ってくれなくなって。正しいことなんですけどね。だからこの本が、「マンガばっかり読んで」という言葉の二〇一〇年バージョンになるのではないかと。昔のマインドでその言葉を言うと怒りやさげすみになったのが、今は肯定的なものとして言える。肯定的なんだけど、「でも、マンガだよね」「よかった、マンガで」、ということを言っている本になったと思います。

マンガホニャララ
ブルボン小林・著

定価:1200円(税込) 発売日:2010年05月28日

詳しい内容はこちら

プレゼント
  • 『赤毛のアン論』松本侑子・著

    ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。

    応募期間 2024/11/20~2024/11/28
    賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様

    ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。

ページの先頭へ戻る