- 2010.02.20
- 書評
日本のツイッターノミクス
文:津田 大介 (メディア・ジャーナリスト)
『ツイッターノミクス』 (タラ・ハント 著/村井章子 訳/津田大介 解説)
ジャンル :
#政治・経済・ビジネス
ブログやSNSをやったことがある人なら一度は批判的なコメントにどう対応するか、悩んだことがあるだろう。
タラ・ハントは「じつは私は批判をまともに受け止めてしまうタイプで」と正直に白状したうえで、そうしたときの心構えを説いている。
<たった一通の批判の方で頭がいっぱいになり、寝ても覚めてもそればかり考えてしまった。そうなるとどうしても感情的になり、自分を正当化しようとする。それが透けて見えるような反応をすれば、必要以上に相手を敵対的にさせてしまう。そうなれば、批判した相手だけでなく、ブログの読者全員に不快感を与え、信頼を失い、ウッフィーを減らすことになる。(略)大事なのは、ネガティブなフィードバックから何を学べるか、考えるようにすることである。>(本書90~91ページ)
ここで語られているさまざまなノウハウは、ブログやSNSをやっている個人だけでなく、企業でソーシャル・メディアを活用している人にとっての貴重な危機管理マニュアルになるはずだ。
本書で書かれていることは、日頃からオンラインメディアにどっぷり浸っている人にとっては自然に納得できることばかりだ。
とはいえ、まだまだ日本のギフト経済は発展途上にある。日本のウェブ上では、この本で紹介されたようなワークシェアリングのような実践は少ないし、日本には、一定以上の寄付を納めると税金が大幅に安くなるような制度がなく、社会的に成功を収めた企業がNPOに寄付をする習慣も米国ほどには根付いていないため、ソーシャル・メディア発のNPOはまだまだ絶対数が少ない。
僕はインターネットユーザーのリテラシー向上や政策提言などを行う「インターネットユーザー協会(MIAU)」という活動をしているが、現実問題として寄付も有料の正会員数も当初想定していた以上に少なく、常駐の事務局員一人すらまともに雇えない経営状況が続いている。
それと実名の問題。
日本の読者がこの本を読んで驚くのは、アメリカではウェブ上では、自分の氏素性をはっきりと明示していることではないだろうか。
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