インタビューほか

桜庭一樹×二階堂ふみ『私の男』との運命の出会い(前編)

「オール讀物」2014年6月号より転載

父・淳悟と娘・花は貪るように互いを求め合う――。 直木賞受賞作の問題作『私の男』がついに映画化。主演女優・二階堂ふみと原作者・桜庭一樹が語り合った。

写真◎山田真美
ヘアメイク◎高草木剛(ヴァニテ)
スタイリング◎内藤克幸

桜庭 中学生を演じている時は一日中、中学生の気持ちでいるものですか?それとも、スタートの瞬間に切り替わるんですか?

二階堂 私は、カットがかかったら自分の時間というふうに、切り替えるほうですね。でも、『私の男』では、ずっと作品に浸っていました。冬編の撮影の時も、ずっと浅野さんのことを考えていたりして。そういう作品は少ないです。

桜庭 冬編の撮影中に、海にポチャッと落ちたと監督が仰っていましたけれど。

二階堂 私ですか? あ、落ちました! 桜庭先生は、流氷の上で闘うシーンの撮影を見に来てくださったんですよね。

桜庭 そうそう。二階堂さんが、ふっと消えたって。あの日は雪も降っていて、「流氷の上に雪が積もると、普通の雪野原みたいだから」という理由で、雪掻きをしているのを見た記憶があります。

二階堂 落ちた後に、助監督が真顔で「はい、行きますよ」と言って、すぐに部屋に連れて行かれて、着替えて。セミドライスーツを服の下に着てはいたのですが、水が入ってくるんですよね。私、撮影の時は必ず寒くなるんです(笑)。今撮影している作品も、最近はずっと暖かかったのに、屋外のシーンの撮影になると、すぐに雨が降り出すし。

桜庭 そういえば、今日も、衣替えしたのに寒くなって(笑)。

二階堂 園子温監督の『ヒミズ』を撮影していた時も、大事なシーンの撮影になると急に寒くなったんです。

桜庭 河原がとても寒そうでした。

二階堂 そうなんですよ。自分が寒さを呼んでいるのかな、と最近思い始めました。

桜庭 でも、流氷が来てよかった。

二階堂 もしかしたら、流氷も呼んじゃったのかなって(笑)。流氷が接岸するのは二月だけど、撮影はスケジュールの都合で一月だったので、「どうする?」と監督たちが話し合っていたことは後から聞きました。でも、現場入りしたら、思いがけず流氷が接岸したんです。こういう体質でよかったと思いました。

桜庭 体質……(笑)。

二階堂 寒かったですけれど、何とか生き延びてかえってくることができました(笑)。

桜庭 大人になった花が登場する最後の場面がとても印象的でしたね。浅野さんがくしゃくしゃの顔になっていて、二階堂さんも大人の女性の目の据わり方をしていて。小説だと、何かしら描写するのだけど、二人がぱっと画面に映っただけですごく説得力がありました。やっぱり、それが映像なんだなって。

《後編はこちら

 

『私の男』6月14日より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
[出演]浅野忠信/二階堂ふみ/高良健吾/藤竜也 [監督]熊切和嘉 [配給]日活

私の男
桜庭一樹・著

定価:670円+税 発売日:2010年04月09日

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オール讀物 2014年6月号

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