2015.04.19 書評

「ブラック企業、なんで辞められないの?」の謎を解く

文: 今野 晴貴

『ブラック企業2 「虐待型管理」の真相』 (今野晴貴 著)

「無意識」だから怖いブラック労働

 本作は、前著『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(文春新書)の続編である。2012年の同書の刊行によって、今では「ブラック企業」は人々に知れ渡ることとなり、各党が政策案を発表するなど、国家的問題となった。

 だが、この問題はまったく解決を見ていないのが実情である。

 その理由は、ブラック企業は話題になっているのに、“次々に若者が入社してしまい”、しかも、ひどい実態なのに鬱病、過労死、過労自殺に至るまで、“辞めずに働いている”からだ。だから、被害が拡大し続けている。

 実際に、労働相談を受け付ける私たちのNPOには、ブラック企業で働く若者の「親」からの相談が相次ぐ。

「娘が毎日早朝から深夜まで働いている。食事もろくにとっていなく、痩せこけて、人相まで変わってしまった。両親が話しかけても『忙しい』と取り合わない。会社に洗脳されてしまっているのではないか」

 といった具合だ。

 だが、このように書いても、彼らがなぜ入社してしまうのか、そして「辞めない」のか、政治家を含め、ほとんどの方は理解に苦しむだろう。ブラック企業の被害を止めるには、ブラック企業の巧妙な「使い潰し」のプロセスをよくよく知る必要がある。

 そこで本書は、ブラック企業が若者を絡め取り、絞り尽くすその過程と戦略に焦点を当て、徹底的な実例からの解明を試みている。

 端的に言って、ブラック企業は実態が「酷い」だけではない。徐々に若者を「洗脳」していくところにこそ、悪質さの本質があるといってもよい。

【次ページ】虐待による「心身喪失状態」

ブラック企業2 「虐待型管理」の真相
今野晴貴・著

定価:本体780円+税 発売日:2015年03月20日

詳しい内容はこちら

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪

今野晴貴・著

定価:本体770円+税 発売日:2012年11月19日

詳しい内容はこちら



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