都会への憧れ、くどい人間関係、楽しみは街道沿いのチェーン店。現代日本の田舎には、どこまでも同じ風景が広がっています。「イナカ川柳」は、そんな田舎をネタにした川柳を読者に募る投稿コーナーとして、TV Bros.(テレビブロス)という雑誌で連載されています。約10年にわたる連載から、傑作・珍作・怪作400句を精選しました。
農作業 しなくてよいは ウソだった
ラブホテル 潰れた後に ケアハウス
気がつけば 隣の嫁は 外国人
―――押し寄せる少子高齢化の荒波は、都会よりもイナカに猛スピードで襲いかかっています。その結果、街の変貌も国際化も、イナカは遥か先を行っています。イナカは日本のフロントランナーなのです。
何もかも 巨大なイオンが 包み込む
しまむらの 服着て今日も しまむらへ
チェーン店 どっちを向いても チェーン店
―――娯楽と言えばパチンコ店くらいしかなく、荒野をぶち抜いたバイパス沿いには自己主張の強い量販店の看板が並び、週末になると全市民がイオンに集結する。事件はたいていイオンで起きています。そこにしか人がいないから。
町挙げて 大河の接点 探し出す
廃校を オシャレにしたがる 仕掛け人
傷痕が 残っただけの 町おこし
――何とか事態を打開したい商店街が、生き残りのために日々奮闘しています。大河ドラマやアニメの舞台になった余所の町が、聖地巡礼者で賑わっていると聞けば、いてもたってもいられない。国滅びて萌アニメ。しかしそうそう、うまくは行きません。
村中を ソーラーパネルが 埋めつくす
アマゾンは 田舎に光を 差し込んだ
撮られてた 畑でアオカン グーグルに
――ね? 本当に日本のフロントランナーですよね。飛騨高山出身の清水ミチコさんも本書を読んでこう言われています。「世界よ、これが日本だ。」
写真撮影:佐坂和也
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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