- 2014.12.24
- 書評
料理のプロも驚かせた
美味しい高原カフェ小説
レシピ:高山 かづえ (フードコーディネーター、料理家)
『風のベーコンサンド 高原カフェ日誌』 (柴田よしき 著)
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
ドラマ化で話題の『激流』や「花咲慎一郎」シリーズ(『保育探偵25時』2015年1月~テレビ東京系にて放送)をはじめ、幅広いエンターテイメント小説を次々に上梓してきた柴田よしきさん。約2年ぶりとなる待望の新刊『風のベーコンサンド 高原カフェ日誌』は、女性主人公・奈穂が開いた一軒家カフェ「Son de vent」が舞台です。奈穂が地元の旬の素材を使って作るメニューは、読んでいると食べたくなるものばかり。そして彼女の料理からは四季折々の素敵な物語が紡がれていきます。そんな美味しい一冊にフードコーディネーターとして活躍中の高山かづえさんが、推薦コメント&再現レシピを届けてくれました!
「読んでいて目の前に本物の料理が出てきた感じがしました」
食べ物の表現がすごくリアリティがあって、とにかく美味しそう。読んでいると目の前に本物の料理が出てきたような感じがしました。文章でこれほど美味しそうなものを形にできるなんて、改めて「作家の方はすごい!」と尊敬してしてしまいます(笑)。こんな風に書けるのは、著者の柴田よしきさんの関心が、料理だけでなく素材や自然に対してまでリンクしているからでしょうね。
主人公の奈穂は、東京では女性誌の編集部で働いていて田舎でカフェを開くのは甘くない世界だと知っていながら、思い切って飛び込んでいく。その姿には自分を重ねる部分もあります。「この世界は憧れだけじゃやっていけないよ」って、私もよく言われました。料理を仕事にすることは肉体労働そのものですからね(笑)。こういうところも綺麗ごとで書かれていないし、他の登場人物たちの親子だったり夫婦だったりというつながりの細やかさも切なく胸に響くものでした。
「料理ってシンプルなものがいい。作りたくなるものが沢山ありました」
本の中に出てくる料理は決して特別高価なものではなく、ふだん百合が原高原で手に入れられる素材を使って作られているわけですけれど、最近、料理って究極はシンプルなものがいいと思うんです。新しい料理や凝った料理を作ろうとすると、どんどん足し算になってしまうけれど、実はいい素材があれば、本当に微妙な塩加減だとか、微妙な火加減によって美味しい料理は作れるんじゃないか、って。
そういう意味でもこの小説を読んでいると作りたくなる料理が沢山ありました。付箋をいっぱい貼ってしまいましたが、今回はタイトルにもなっている「ベーコンサンド」と「泡雪羹」を作ってみました。いざ作るとなると「ベーコンサンドのパンの厚さは? ベーコンの厚さは?」「淡雪羹の配合は?」と色々試行錯誤もありましたが、奈穂のカフェのお客様に美味しいといってもらえるよう、楽しみながら作ったレシピです。小説で味わった美味しい感動を皆さんもぜひ!
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