本の話

読者と作家を結ぶリボンのようなウェブメディア

キーワードで探す 閉じる
もう一度本を読む生活に戻りたい<br />家族を本好きにしたいとお悩みの方へ

もう一度本を読む生活に戻りたい
家族を本好きにしたいとお悩みの方へ

「本の話」編集部

知っているようで知らない書店のことについて、全国各地の書店員さんが顔出しで回答する「10人の書店員に聞く<書店の謎>」。今回は、本を好きになる方法について答えていただきました。

20代までは読書が大好きでした。仕事を始めてからは多忙と業務の専門書に追われて、読書離れです。加えてネットや新聞で情報収集に時間を使っています。もう一度、本を読む生活をしたいです。再スタートのきっかけを教えて下さい。(東京都 60代 女性)

内田剛(三省堂書店神田神保町本店)

 朝日新聞の夏目漱石『こころ』連載がニュースになったり、光文社の古典新訳文庫が売れていたり、今秋にも河出書房新社から『日本文学全集』刊行など、定番タイトルの再読がひとつのブームとなっています。いま一度、読書体験を振り返っていただき読書感想文を書いたり、教科書で習った記憶のあるタイトルの読み直しをオススメします。必ずや新たな発見があるはずです。

 

岡一雅(MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店)

 先ずは本と出会う時間と場所を作ってみませんか。休みの日に近くの書店へ出かけて、新刊・話題の本が並んでいるコーナーから、以前よく読んでいた作家さんやジャンルの棚を「何か面白そうな本ないかな」と思いながらブラブラ廻ってみる。もし可能なら一つのお店だけではなく二つ三つ……とお散歩がてらハシゴされるのをお勧めします。

 

高橋佐和子(山下書店南行徳店)

『1%の力』(鎌田實/河出書房新社)

『1%の力』(鎌田實/河出書房新社)をお勧めいたします。短く章ごとに読めますし、鎌田先生も「0%から100%は難しいが、1%ならやってみようと思える」とおっしゃっています。私は、片目で生活せざるを得ない状況になったことがあり、読書に疲れを感じるようになった後、なかなか本を読むという生活に戻れなかったときがあります。そのときに、写真集や絵本をパラパラと捲り心がほんわかしたことがあります。それから、元のように読書が進むようになりました。「本」はきっと「本屋さん」をふらりふらりとしてくださると、切っ掛けが向うから来てくれるように思います。私も質問者さまのように本をずっと好きでいられる人間でありたいと強く感じました。

 

筒井陽一(リブロ名古屋店)

 20代の頃に読まれていたご本の著者様は現在現役ですか? であれば新作を。お読みでない著作はありますか? であればその作品を是非。また、好みが信用できるなあ、趣味いいなあ、というご友人に「最近、何読んだ?」とご相談されては如何でしょう。きっかけは何でも良いはずです。無事の再スタートをお祈りしております。

 

野坂美帆(紀伊國屋書店富山店)

『ねにもつタイプ』(岸本佐知子/ちくま文庫)

 小説を読むのは、エネルギーが必要なものなのではないかと思います。他人の作った世界を自分の中で再構築する作業だからです。また、まとまった時間が必要なものでもあるかと思います。ご多忙とのこと、小説ではなく、エッセイからまた本を手に取っていただくのはいかがでしょうか。なるべく章立ての細かいものをお選びいただければ、すきま時間に気に入った部分から読み始めることができます。昔好きだった作家さんのエッセイなど、ひとまずお手元に置いておき、読んでみようかな、という気持ちが湧くまで寝かせておいては。やはり、身体が本を欲しないというならば、今その時に本は必要ないということなのではないかと思うのです。リラックスしたいとき、頭をオンからオフに切り替えたいときにもエッセイはオススメです(逆にこれから仕事に行くぞ! というときは科学読み物がオススメです)。私は疲れたとき、岸本佐知子さんの『ねにもつタイプ』(ちくま文庫)などを読んで肩の力を抜くようにしています。

 

二村知子(隆祥館書店)

 隆祥館書店にご来店いただくことができましたら、僭越ながら、これまでお読みになられた本の嗜好や、今、現在の環境などから、お薦めの本のご紹介をさせていただきます。仕事が忙しくても、「本」の世界に再び足を踏み入れてください。隙をみて読まずにはいられなくなります。自分一人だけでは決して体験できない多くのことを知り、感じることができます。それは、ある時は楽しく、ある時は美しく、時には考えさせ、涙を流させ、今までに知らなかった見たことも無かった素晴らしい世界に連れていってくれます。心をもっと新しく、もっと素晴らしくしてくれるもの、それが「読書」の世界です。当店の「作家さんとの集い」への参加も、きっかけづくりにはいいかもしれません。作家さんの思いやエピソードが、直接聞けるので感動があり、学びがあり、心が豊かになります。

夫が本を読みません

活字をまったく読まない夫に、どのような本を薦めたら、本に対して興味を持ってもらえるでしょうか。図鑑はときどき虫の部分だけ見ているようなのですが。(東京都 20代 女性)

高橋佐和子(山下書店南行徳店)

 私の夫も本に興味がない人ですが、はじめて自分から「半沢直樹のドラマになった本って持ってる?」と聞いてきたことがありました。ドラマで人気だったり、話についていけないと困るような本をさり気なく目につくところに置いておくと興味を持って下さるかもしれません。

 

内田剛(三省堂書店神田神保町本店)

『むしくいノ-ト』(ムシモアゼルギリコ/カンゼン)

 虫が好きでしたらムシモアゼルギリコ『むしくいノ-ト』(カンゼン)をオススメ。しかしそのまま食べるほうに走っても心配ですのでほどほどに。

 やはり本に興味をもっていただくには本屋に行くしかないかと。ぜひ旦那さんに本一冊分のお小遣いをあげて1時間ほど放ってください。本を探す楽しさが見つかるはずです。きっと。

 

 

 

 

【次ページ】中高生は漱石や太宰を読んでいる?

プレゼント
  • 『もう明日が待っている』鈴木おさむ・著

    ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。

    応募期間 2024/3/29~2024/4/5
    賞品 『もう明日が待っている』鈴木おさむ・著 5名様

    ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。

ページの先頭へ戻る