- 2010.04.20
- インタビュー・対談
島田荘司 × 寵物先生 (ミスターペッツ)
アジアから現れた本格ミステリーの超新星
「本の話」編集部
『虚擬街頭漂流記』 (寵物先生(ミスターペッツ) 著/玉田誠 訳)
出典 : #本の話
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
島田 台湾版の『虚擬街頭漂流記』は大好評だそうですね。台湾の読者の反応はいかがでしたか?
寵物 ミステリーファンだけでなく、多くの一般読者にも気に入ってもらえたようで、嬉しいですね。父と娘の関わりを描いた点を気に入ってくれる読者が多かったです。母と娘との関係や感情をあまり描かなかったのは読者の想像に任せたかったからなのですが、その点も理解されたようでした。台北に実在する西門町(シーメンテイン)という町についてかなりの文字数を費やしましたが、ここは西門町に思い入れがある人とない人とで、評価が大きくわかれるようです。特に中国の読者からは、「西門町の描写ばかり続くのはなぜだ?」と言われます(笑)。
島田 最終候補三篇の中では『虚擬――』が断然よかったです。単に好みからいっても、本格の将来を展望する理屈から判断しても、傑作だと思いました。物語の最後が冒頭へとつながるアイデアもすばらしかったし。今度出る日本語版は、玉田 誠さんの翻訳文がとても柔らかく、流暢(りゅうちょう)に仕上がっているので期待していてください。
ミステリー作家・寵物先生の履歴書
島田 ミステリー作家に至るまでのあなたの歴史を教えてください。子どもの頃からミステリーは読んでいたんですか?
寵物 台湾の東方出版社から出ていたルパンやホームズのシリーズ、『Yの悲劇』や『アクロイド殺し』などが収録されたミステリー小説シリーズを、小学生の頃から読んでいました。
その後、藤原宰太郎の推理ゲームや謎解きの本を読み、そのネタ元の作品を探しては読んでいました。最初に読んだ日本人の作品は、西村京太郎の『夜行列車(ミッドナイト・トレイン)殺人事件』だったと思います。
島田 ご自分でミステリーを書くきっかけになった作品はありますか?
寵物 台湾大学のミステリー研究会で読んだ、綾辻行人の『十角館の殺人』です。半分ぐらい読んだところで結末の予想ができて、このアイデアなら他にどう展開できるだろうと考えているうちに、自分にも書けるのではないかと思うようになりました。
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