乳がんで亡くなった母・千恵さんに教わったレシピで毎朝みそ汁を作るはなちゃん。『はなちゃんのみそ汁』(文春文庫)は、今年8月に24時間テレビでドラマ化されて多くの人の涙と感動を誘いました。2015年には映画化も決定しています。 400字以内の読書感想文を募集したところ、多くの投稿をいただきました。そのなかから5通を御紹介します。 安武信吾さん、はなちゃんから、読者の皆様へ御礼の言葉も届いています。
はなちゃんは大人だなぁ
「パパまでいなくなったらはなどうするの?」
この一言を読んだ時私にはある記憶が蘇りました。
それは私が小学6年だったとき母が入院し、週一回お見舞いにいくと辛いリハビリと闘う中、私と父にはいつも笑顔の母の姿がそこにはありました。
はなちゃんのみそ汁を読んで「はなちゃんは大人だなぁ。」と思いました。母が入院していた当時の私はとても弱かったのにはなちゃん、とても尊敬します。また、生きることは奇跡ということ、何気なく過ごしてしまいがちな毎日の1分1秒でも大切にそして一生懸命生きることで生まれてきたことに感謝できることを学びました。
これからも両親から授かったこの命に感謝しながら生きていきたいと思いました。
(長野県 高校生 女性)
いつも前向きで力強い姿に感動
家族で仲良く笑顔で毎日を送ることや規則正しい生活をすること、そして、生きているだけで幸せ、ということがどんなに大切なのかということが、この本で学ぶことができました。私は、千恵さんの生き方にすごく感動しました。いつでも笑顔で、いつでも前向きで力強く生きていて……「がんなんかに絶対に負けないぞ!」という気持ちがすごく伝わってきました。まだ幼いはなちゃんのためにも一生懸命生きなければならない、ということが読み取れる部分がたくさんあって、本当に感動して涙があふれてきました。
はなちゃんが小さかった頃、家事を教えてできるようになった事がすごいなと思いました。私の5歳の時とは大違いなので、尊敬の気持ちでいっぱいです。はなちゃんが5歳の誕生日からしている、朝のみそ汁作りを続けてほしいです。お父さんとはなちゃんが、これから先も支え合いながら笑顔で仲良く頑張って生きていってくれることを願っています。
(和歌山県 中学生 女性)
一日一日を大切に
食と命、食と生きていくこと、食と家族を考えさせられた作品です。
私にも夫と子どもがいます。かけがえのない存在であるはずですが、日々の何となく過ぎる時間に流され、その日一日を振り返ることもせずに過ごしている毎日です。毎日はどんな人も違うはずなのに、どこか一緒になり、自分の都合で一体化してしまっていることも思い知らされました。自分が子どもたちに何を残して、何を継承できるのかは考えないといけなことです。私は今後、それを自分が生きる課題の1つとして、時に夫に時に子どもたちに伝えていこうと、このお話を通じて自分の足りなさをも知ることができた作品だと痛感しました。
(神奈川県 30代 主婦)
ありがとう、千恵さん
同世代の女として、娘を持つ母として、一人の人間として、そして乳がん予備軍患者として千恵さんの生き方を尊敬します。先立つ母親として出来得ることを命がけでしましたね。そしてそれは、はなちゃんにとって一生役立つものになったと確信します。なのに、生きている私はどう? 娘たちに何をしてやれているんだろう? 明日何が起きるかなんてわからないのだから、もっと「今」を大切に生きていきます。ありがとう、千恵さん。
(愛知県 40代 公務員)
人から人へ伝わるレシピ
ネット社会の現代に母から教わったレシピを作る子はどのくらいいるのだろう、少ないのではないかと思う。ネットですぐに検索できるからだ。ネットのレシピは便利で、記されたとおりに作るとあっという間に一品ができあがる。便利だけれど残らない。また検索すればいいと思わせてしまう。千恵さんのみそ汁レシピははなちゃんの頭と身体に「母の愛情」というスパイス付でしみこんでいると思う。はなちゃんのみそ汁を読んで、私はみそ汁つくりを一層丁寧にするようになった。根菜をいれようとか出汁をしっかりとろうとか。それは本から素材や食のたいせつさを教わり心に響いたからだと思う。ネットレシピもいいけれど、やっぱり人から人へ心と共に伝わるレシピは身体にしみこむと思う。千恵さんのレシピははなちゃんを通じたくさんの人に伝わった。はなちゃんありがとう。
(埼玉県 30代 主婦)