書評

食料自給率の低い日本の弱点

文: 高橋 五郎 (愛知大学教授)

『日中食品汚染』 (高橋五郎 著)

 金額で計ると日本の最大の食品輸入相手国はアメリカ。2番目は中国だ。

 金額ではアメリカに劣る中国だが、輸入品目数では世界トップで、2012年で700品目に達する。輸入加工食品が増えるほど、1つの食品ができる間に超える国境の数も増える。生鮮食品は中国から直接来るが、中国が輸入した加工原材料を現地で中間加工して輸出することも多く、それが繰り返される間に、残留農薬、食品添加物など身体に害のあるものが混ざる危険性が高まる。

日本の検査体制は万全とはいえない

 これを受け入れる側の日本の輸入食品検査制度にも問題がある。

 水際で厳重なフィルターを掛けているので安心だというのは本当か? 日本産食品は安全だということも神話にすぎないのではないか? 輸入検査制度、残留農薬基準の決め方には問題がないのか?

 残留農薬問題は2006年以降、制度が変わり、厳しく取り締まられてきたが、残留農薬の発見自体が十分にできる制度でなければ効果は薄かろう。はじめから農薬は安全ということを前提としているような制度のような気がしてならない。

 被検対象の重金属はナマリ、ヒ素、カドミウム、同じく食品はトマト、キュウリ、コメなどに絞られていて、不安を払拭するには心もとない。日本産食品にも残留農薬、カドミウム汚染などの疑念が消えていない。

 最後に、以上の考察を通じて浮かび上がった課題にどう対処したらいいのか、具体策を提案した。国レベル、個人レベルの取り組み方があろう。前者は国際的なものでなければ意味が薄い。たとえば重金属や食品添加物についてのポジティブリスト化、輸入加工食品工場の指定化など。個人レベルの取り組みは家庭料理の見直し、加工食品摂取の頻度を下げるなど。

 日本人の食をめぐる危険性がますます高まる中、本書が視野を広げて冷静に、安全とは何か? を考える機会になれば幸いである。

『日中食品汚染』
高橋五郎・著

定価:760円+税 発売日:2014年03月20日

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