本書は、人気ブロガーのちきりん氏が、IT化やグローバリゼーションなどにともなっておこる未来の変化を予測し、その激動の中で幸せに生きていくための働き方を提案した書である。具体的には、職業人生を、前半、後半の2回に分けて考え、1度目は横並びの働き方しかできなかったとしても、40代からは自由でオリジナルな働き方に移行することを薦めている。
この提案は、私が、この4月に出した著書「日本成長戦略 40歳定年制」の内容とも驚くほど近く、大変共感を覚えるものだった。
40歳定年制については、2012年に「国家戦略フロンティア分科会」の「繁栄のフロンティア部会報告書」の中でふれたのが最初だ。その文言から、「40代で会社をクビにするのか?」と思われがちだが、そうではなく、中高年にも生き生きと働いてもらうため、「40歳、60歳で、自分に合った働き方を選びなおせる制度、仕組みを作っていこう」という提案だ。
ちきりん氏の本は、個人の立場にたって、激変する社会をどう生き抜くかという問題意識から出発し、私の「40歳定年制」は、日本社会を持続・発展させるための制度論、政策論というところから出発しているにもかかわらず、その両方が、ほぼ同じ結論にたどり着いているのが大変興味深い。
一生ひとつの仕事は非現実的
本書の前半部分では、現在が、ITの進化、グローバリゼーション、人生の長期化などによる、産業革命期以来の「革命的」な変革の時期だと書かれている。私の認識も全く同じである。
しかも、その「革命的変化」は“大きい”ばかりでなく、いまだかつてなく“速い”ことに、私は注目している。大きい変化でもゆっくりであれば、働き方にはそれほどのインパクトは与えない。次の世代が対応してくれればいいからだ。そうではなく、変化が早すぎるために、1人のライフサイクルよりも早く社会が変わっていく。本書にも指摘されているが「一生ひとつの仕事は非現実的」になっているのだ。
現状を見ても、一見、いまだ終身雇用は機能しているように見えるが、大企業ですら中高年を大リストラせざるを得ない時代である。
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