またリストラには至らなくても、実質的に社内で仕事がない“社内失業者”は全国で500万人いるといわれている。彼らは、決してやる気がないわけでもなく、能力がないわけでもない。たまたまその会社の中に生かす場所がなくなってしまっただけで、結果的に、個人にとっても会社にとっても、不幸なことになっている。
終身雇用制は、実質的には、内側から崩壊し始めているのだ。
一方で、働く期間はどんどん長期化している。年金給付開始年齢は、このままいけば、70歳近くになるのはほぼ確定である。70歳まで、やりたくもない仕事を同じ職場でお金のために続けるのか、自分の喜びとなるような仕事に前向きに打ち込んでいけるのか。それは、人生後半で、自らのキャリアや仕事を見直すことができるかどうかにかかっていると思う。
こういうと、「40歳で会社を辞められるのは、能力や経済力のある特別な人だけ」と言う人も多い。
が、実はそういう人たちは、ちきりん氏も書いている通り、一度も転職経験のない人がほとんどである。転職経験のある人は、外に出さえすれば、なんとかなることを知っている。ロジカルに考えても、労働人口は急速に減っていくので、マッチングさえうまくいけば働く場所は必ずあるはずだ。
とはいえ、第2、第3の人生をより生き生きとしたものにしたいなら、やはり能力開発は必要だろう。変化の早い世の中では、スキルも陳腐化しやすい。マネジメントを学んだり、専門学校で実践的な知識を身につけたりして、常にスキルをアップデートしておくことは、今後ますます重要になっていくと思う。
大事なのは、企業に与えられるままに働き方、生き方を選ぶのではなく、自分で主体的にキャリアを設計し、スキルを獲得していくことである。
本書では、最終章でオリジナル人生を設計するために役立つ、実践的・具体的な3つのステップを紹介している。自分でキャリアを設計せよと言われても、どうしていいか分からない人にとっても、大変、親切な内容である。
本書を読んで実際に、40代で新しい働き方・生き方に移行する人が増えることを願いたい。そして彼らをバックアップするためにも、適材適所のマッチングが機能するような人材マーケットを作り、いくつになっても学び直しやスキル開発ができる社会の制度・仕組みを作っていくことが急務だと改めて感じている。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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