インタビューほか

『CHANGE』に見る理想の総理像

田崎 史郎

『政治家失格』 (田崎史郎 著)

福田    本会議の他に、常任委員会と特別委員会があるという。まず、そこからしてわからない。

田崎    日本の国会は委員会中心主義を採用していますから、法案は、常任委員会や特別委員会を通らないと、本会議に上げられないのです。

福田    ですから、新米議員の朝倉が秘書から国会の説明を受けるシーンでは、「全校集会が本会議で、図書委員会が常任委員会で、運動会の実行委員会が特別委員会」と書きました。

田崎    新聞の政治面は読まれなくても『CHANGE』が大きな支持を受けたのは、国民の中に、政治のことを知りたい、政治がこうあってほしいという、強い気持ちがあったからに他ならないと思います。単に政治家たちが政争を繰り広げるドラマだったら、話題にもならなかったはずです。しかし、朝倉啓太の目線は、とても視聴者に近かった。今までに見たこともない、自分たちに近い感性と考え方を持った政治家だった。だからこそ視聴者は、感情移入しながら観ることができたのだと思います。

「大統領とはスピーチをする人」(福田 靖)

田崎史郎(時事通信社解説委員長)
1950年生まれ。政治記者として田中、竹下、橋本派を中心に取材。著書『梶山静六 死に顔に笑みをたたえて』等。「報道ステーション」出演

福田    最終回では朝倉総理が、二十二分間にわたって、カメラを通して国民に語りかけます。あの長回しのスピーチで話される、「正直言って、政治に特別な関心も持っていなかった」、「自分の一票で政治が変わったと実感したことなんてなかった」という言葉は、まさに僕自身の、率直な政治に対する気持ちでした。

田崎    あの演説はドラマの白眉でした。台本がなかなか完成せず、収録スタジオにいる福田さんから、最終確認の電話をいただきましたね。

福田    僕は、『アメリカン・プレジデント』のようなハリウッド映画で描かれる大統領は、「とても格好がいい」と思っているのです。大統領が戦闘機に乗って宇宙人と戦う荒唐無稽な『インデペンデンス・デイ』でさえ、大統領のスピーチには感動しました。僕にとっての大統領のイメージは、“スピーチをする人”なのです。オバマ大統領の演説も、実に感動的です。政治といえば、話題になるのは権力闘争ばかりです。しかし国民は、こういう政治をするのだという政治家のメッセージを聞きたい、そして感動したいのではないでしょうか。だからこそ、延々と演説が続くだけにもかかわらず、『CHANGE』の最終回は二七パーセントという高視聴率になったのだと思います。

田崎    永田町の政治のプロたちが、いかに国民と同じ視線でないのか驚いたことがあります。麻生内閣の支持率が急落した原因について総理秘書官と話していたら、彼らは、「定額給付金問題などで方針がぶれるからじゃないですか」と言う。私が、「違います。漢字が読めなかったことがいちばんの原因です」と言うと、はっとした顔になった。そのようなわかりやすい失敗が、国民の不信感にぴたりとフィットすることが理解できない。読み間違いしても、「それが何か?」というような顔をしているから、よけいにずれていると思われる。

政治家失格
田崎 史郎・著

定価:840円(税込)

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