- 2013.07.12
- インタビュー・対談
ちきりん×柳川範之
「人生は二回、生きられる?」トーク ライブ・レポート!<前編>
構成:『未来の働き方を考えよう』担当編集
『未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる』 (ちきりん 著)
ジャンル :
#趣味・実用
変化の時代に学生は保守化?
ちきりん 時代の変化が速くなってきたのは、いつ頃からだと思われますか?
柳川 バブルが崩壊した頃からでしょうか。実は日本も、IT技術の隆盛や新興国の成長という現実に直面していたのですが、日本はバブル崩壊と不景気という波が押し寄せていたので、大きな構造変化が起きている実感がないままに、すべて不景気のせいにしてここまできちゃった。
ちきりん まさに私が本に書いたことと同じですね。ではここで、会場の皆さんに聞いてみましょう。現在起こりつつある変化が、いつもの継続的に起こっている変化とは違うレベルの、大きな変化だと思う人は緑、たしかに変化はしているけど、今までと同じレベルの変化だと思う人は白をあげてください。
ちきりん やっぱり、今までとは違う大きさの変化だと感じている人が8割以上なんですね。先生は東大の経済学部生という、就職市場における強者を日常的に見ていらっしゃると思うんですけど、彼らの考えはここ最近、変わってきていますか?
柳川 変わってきていますね。それは、随分保守化している(笑)。多くの例外はありますけれど、ここ10年くらい学生は全体的にはとってもまじめ。授業の出席率もとてもいい。
ちきりん それは、学校側が授業の出席をとるようになったなど、学校側の変化によるものですか?
柳川 いや、出席とらないのですが、みんなまじめにでます。きっちり、ノートをとって、きっちり就活をする。
ちきりん なんだか信じられない! 今の学生さんは、なんでそんなにまじめなんでしょう?
柳川 よく解釈すれば、学校で勉強しておかなければ後で困るんじゃないかという危機感から、まじめに考えるようになったのと、ヘタに道を外れるとこの就職難の時代に大変だ、とにかく安心なところに早くきちっとおさまろうという気持ちが強くなっているのかな……。
ちきりん こんな時代の中で、東大経済学部の学生がとりあえず安定した企業に入ろうという傾向が強まっているんですか? まったく最悪ですねー(笑)。
私も、ちきりんとして学生さんにお会いすることがよくありますが、保守化している気は全くしないんですけど。むしろ私が大学生だった頃より自由に生きてるし、世界を身近に考えていて、優秀だなあと思うことが多いです。でも先生の話を聞くと、私が会っているような学生は特殊な人たちなのかも?
柳川 特殊かもしれないです。そういう人も増えてはいますけれど。まあ学生を代弁すれば、東京大学って就活のときには有利な肩書きだからそれを最大限に活かしたいと思うのは自然な考えかなとは思います。ただし、その先は分からないですけどね。その会社にずっといて幸せに暮らせるかというのは別問題なんでね。だから学生には、いつでもやめたくなったら大学は待ってる、と僕はいうんです。
ちきりん それ、研究者の道を勧めていらっしゃるんですか? でもその道じゃ、それこそ食べていくのも大変では(笑)?
柳川 うーん、食べられないですけどね(笑)。というよりも、修士課程を出て就職できますから、研究者になる場所としてだけじゃなく、学び直して頭を整理し、生き方を方向転換をする場所として大学を使ってほしいなと思っています。
ちきりん でも確かに、何年か働いて、大学に戻るとか、留学するとか、人生を何回か分けて、リセットしながら方向性を変えていくのはいいですよね。何十年も働いている間には時代も変わるし、自分のやりたいことも変わっていくわけですから。
柳川 僕にとっても自然です。僕は今、東京大学で教えてますが、しばらくは中卒という学歴でした。中学は日本で卒業し、そのあと父親と一緒にブラジルにいって、基本遊んでいました(笑)。帰国して、大検を2年遅れで取り、それからシンガポールに住みながら慶応大の通信教育を受けていたんです。外国にいると、いろんな働き方をしている人がいっぱいいるんですよね。30くらいから学校に行く人もいれば、40代で子育て終えてから働こうという人もいる。それをみていると、日本のように、みんながみんな、中高大と卒業して、いいところに就職して一生働く必要はないと思うんです。今、寿命も伸びていますから、70代になっても元気でやる気のある人がいっぱいいる。その人たちが活躍するためにも、40代くらいで、いったん変化に合わせて働き方を変えるって大事なんじゃないかなと思うんですよね。
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