――新刊『オトことば。』は、乙武さんがインターネット上のコミュニケーションサービス「ツイッター」で発言したさまざまなツイート(つぶやき~最大140字の短文)から生まれた、今までにない1冊です。乙武さんは、昨年の6月からツイッターを始めていますね。
「南アフリカでサッカーのワールドカップが開かれた時期です。その頃、『日本代表の試合中にツイートしてほしい』と依頼されたのがきっかけでした。もともと携帯メールは好きでしたし、mixiなどでネット上でのコミュニケーションにも親しんでいましたから、手を出したら、はまるだろうなという予感はあったんです。やっぱり、はまってしまいましたね(笑)。昨年春まで3年間、小学校の教壇に立っていたのですが、もし教師の仕事を続けていたら、これほどつぶやくことはできなかったと思います。もしやっていたとしても、愚痴ばかり書いていたかもしれません(笑)」
――ツイッターの興味深いところは、著名人であれ友人であれ、その動向が気になる人をフォロー(登録)していれば、その人のツイートを常に読むことができるところです。今、乙武さんのフォロワー(登録者)は、なんと34万人を超えています。日本でもベスト50に入るフォロワー数です。
「フォロワーの数は、今でも1日300人ぐらいのペースで増え続けています、僕が一方的につぶやくわけではなく、仕事が終わったとつぶやけば『おつかれさま』、寝ますとつぶやけば『おやすみなさい』といった形で、34万人のフォロワーさんたちと気軽にコミュニケーションが取れることもツイッターの魅力です。まるで日本中、世界中に友達ができたような感覚があって、今ではツイッター内でのやり取りが、生活の一部となっています。マネージャーには『乙武さんの日々はツイッターに支配されている』なんて言われるくらい(笑)。それほど僕の日常が反映されています」
――本書は、そのツイッター上でのやり取りが、ツイッターに親しんでいない方にも読みやすい形でまとめられています。フォロワーたちとの「ボケとツッコミ」のようなやり取りに思わず笑ってしまうことも多いのですが、時には「バーカ」「死ね」といった、何とも心ない失礼なツイートもフォロワーの方から飛んでくるようですね。
「そういう言葉は、毎日届きますよ。よくいろんな言葉を見つけてくるなあ、と思うくらいに。でも、『五体不満足』を出してから13年間、2ちゃんねるなどの匿名掲示板では常にいろんなことを書かれてきましたから、正直なところ免疫がついているんです。それにツイッターは匿名ではあっても個人のパーソナリティーがある程度見えますよね。匿名掲示板と比べて、その人が見えない怖さがはるかに少ないので、なんだか相手を信頼できるんです」
――教育関連や障害、差別語についての発言など、非常にシリアスな話題も目立ちます。
「著名人のツイッターは、ファンの方々に向けて『今日はこんな食事をしました』と日常を綴るだけでも十分成立するのかもしれない。でも、僕はせっかく多くのフォロワーさんとコミュニケーションを図れるのなら、それだけではもったいない気がして。もちろん、家族のことや日常の出来事など、私的なこともつぶやきますが、それだけではなく、何か問題を投げかけるようなツイートをすることで、皆さんが普段考えないこと、考えると面倒なのでフタをしているようなことに目を向けるきっかけになればいいなと意識している部分はあります」
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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