――東日本大震災が起きた2011年3月11日から数日間のツイートは、あえて時系列で掲載していますね。その後の「不謹慎論争」も、考えさせられる内容でした。
「改めて読みかえすと、あの時のことを思い出して正直グッと来ました。事務所のエレベーターが止まったこともあって、僕は震災後24時間以上、自宅に戻れませんでした。この身体じゃ、2人の息子を守ることもできないし、被災地に赴いて炊き出しや瓦礫の撤去といったお手伝いもできない。無力感に打ちのめされた時期もありましたね。でも、被災していない僕たちが活動を止めてしまったら日本全体が立ち止まってしまう。そんな思いから、これまで何度も被災地に赴き、僕なりの活動を続けています。不謹慎や自粛についての発言・やり取りも、そうした思いが表れたものだと思っています」
――この本の中でも1章を割いていますが、フォロワーが乙武さんに対して、受験や進路相談、生きる上での深刻な悩みをストレートにぶつけてくることも多いですね。その問いに対する乙武さんの当意即妙の回答と、そこから広がっていくさまざまなやり取りが示唆に富んだものになっていて、読みごたえがあります。
「1番多い質問は、『乙武さん、原稿はどのようにして書くのですか?』といった、どうやって○○してるんですかという類のもの。あまりにも多いので、さまざまな画像をまとめて自分のブログに載せたくらいです。でも、確かに人生相談的な問いかけは多いですね。ツイッターを始めて1番の驚きが、『こんなにも多くの人が、他人からのアドバイスを求めているのか』ということでした。もっと自分で考えてほしいと思い、あえて冷たい、突き放したような返事をしている時もあります。また、その問いが重要だと感じた時は、たとえ1対1のパーソナルなやり取りであっても、あえてリツイート(引用発信~そうすることで、そのやりとりを乙武さんのフォロワー全員が見ることができる)します。より多くの人に同じ問題について考えてもらえるからです」
――フォロワーたちと真っ向から意見が対立することもありますね。「学校は本当に行くべきところなのか」といった論争などもありました。納得する人もいれば、歩み寄ることなく、議論が平行線のまま終わることもあって……。
「当たり前のことですが、人それぞれ意見は違うもの。決して僕の考えが正解だという思いで発信しているわけではなく、あくまでひとつの参考意見として考えてもらえればと思っています。賛成だったり反対だったり、さまざまな意見を並べて提示することによって、フォロワーの方々がその問題を考えるきっかけとしてくれればいいかな、と」
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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