――「障害は個性か?」といったコラムをはじめ、障害や差別語に関する発言や議論が本の大きなパートを占めていることも、これまでの著作にはなかったことです。
「僕はこれまで、障害者の代表として見られたくないとの思いから、障害や差別語についてあまり突っ込んだ意見を表明したことはありませんでした。この本がはじめてと言ってもいいくらいです。でも、フォロワーの方々からの真摯な問いかけがあったからこそ、『このことをもっと深く考えてみよう』と思索を深め、整理することができ、さまざまなツイートへとつながったように思います。
たとえば『カタワ』という言葉ひとつとっても、僕はこれまでそれほど口にしていたわけではありませんでした。でも、フォロワーの方からそういった言葉が投げかけられた時、全く嫌な気持ちにならない自分がいたんです。その反応が、自分でとても面白く感じました。これは、僕が障害に対して負のイメージを持っていないからだし、もし持っていたらいやな気持ちになるだろうなあ、とも思えた。また、『障害者』を『障がい者』と書くことについても、僕はどっちでもいい、と思っている。でも、人によっては『がい』にこだわるだろうし……。このことについては本書の中で、『ぼくは「カタワ」です。』というエッセイにまとめたので、是非読んでいただきたいですね」
――教員時代の疑問や、地域のお祭りで感じたこと、亡くなったお父さんへの思いなど、フォロワーたちとのやりとりの合間合間に、やりとりに関連したエッセイが挿入される構成も、この本の魅力となっています。
「エッセイを20本並べただけの構成だと、どうしても重たいものになってしまいますから。これまでの著作や講演会など、僕がメッセージを伝えるときには、必ずそうしたバランスを意識しています。伝えたいことをストレートに投げ込んでばかりだと、受け手は食傷気味になってしまう。バカバカしい話、明るく笑える話を交えながら、本当に伝えたいことを盛り込むと、ちゃんと受け止めてもらえるんです。カバー絵を描いてくださった曽根愛さんが、本文のあちこちに描いてくださったユーモアたっぷりのイラストも含めて、バランスのよい一冊になったと思っています。
“乙武さんがうらやましい”――フォロワーの方から、こんなメッセージをいただくことがあります。手足がなく生まれてきた人間なのに“うらやましい”だなんて、これまでの日本社会ではありえなかったこと。おそらく、社会にとっても喜ばしいことだと思うんです。一見、手足がなくて不幸な状況にあるように思える人間が、こんなに楽しく生きている。この本には、その秘密というか、ヒントが詰まっています。単なるツイッターをまとめた本ではないので、フォロワーの方々が読んでも楽しんでもらえますし、ツイッターに全く馴染みのない方にも届くような、読みやすい本に仕上がりました。そうそう、今回はこの本の感想ツイート大賞をツイッター内で開催します。大賞を獲った方には、僕が実際に会いに行きます。みなさん、ハッシュタグ〔#otokotoba〕をつけて、どんどん本の感想をつぶやいてくださいね!」
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。