小説のなかで一番好きなのは『鏡子の家』です。学習院高校に通っているときにOBという縁もあって、三島由紀夫を読み始めました。殆どの作品を読みましたが、赤線を引きながら文章力にうならされたのが、この作品。自信作が評価されず、三島ががっかりしたという話も聞きましたが、私は『鏡子の家』の文体こそが最もビビッドだと感じました。
ビジネスマンとしての人生を振り返って思うのは、読書というのは、反省する機会のみならず、次へのステップとなるヒントを貰える機会だということです。
これまで海外のリーダーたちの本を読んでいて、「フォーマイカントリー」という考えに魅かれました。今回、日本郵政の社長を引き受けたのも、最後のお勤めとして、この国のために尽くそうと思ったからです。社長として迎えた今年の新入社員には、いくつかのことを伝えました。一つは、人事異動に一喜一憂するな、と。本気のネバーギブアップで、強い人生観を作ってほしいと。そしてもうひとつ、「not NATO,but NIKE」と伝えた。NATOといっても北大西洋条約機構じゃないですよ、「No Action Talk Only」、つまり、実行しないで会議ばかりしていたらだめなんだと。NIKEの宣伝文句は「JUST DO IT」。これは私自身に向けた言葉でもあります。挫折してもすぐ立ち上がる、このシンプルな人生観を大切にしてきましたから。
お勧めの4冊
・『ニクソン――わが生涯の戦い』 (リチャード・ニクソン 著) 文藝春秋
・『ニュー・エンペラー――毛沢東と鄧小平の中国』 (ソールズベリー 著) 福武書店
・『アメリカにおける秋山真之』(全三巻) (島田謹二 著) 朝日文庫
・『鏡子の家』 (三島由紀夫 著) 新潮文庫
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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