──上杉さん自身も体験していますが、なぜ議員秘書を志したんですか?
上杉 僕は政治を専門に書くジャーナリストになりたかったんです。インナーサークルではどのような意思決定がなされているのだろう、と考えていました。そこで政治の世界へ飛び込んでみようと思ったわけです。身近にいた政界に詳しい人に相談すると、方法が三つある、と言われました。一つ目は政治家になることだ、二つ目は政党職員になることだ、三つ目は議員秘書になることだ、だが、どれも勧めない、という回答でした。
僕は政治家になるつもりはさらさらなかったし、政党職員は事務職で暗いというイメージが強かったんですよね。また、秘書というと素人目にも「汚いことをやっている人たち」という印象だったんですが、結局一番手っ取り早くなれそうな気がしたんです。
でも汚いことをするのは嫌だったので、お金持ちの議員を探すことにしました(笑)。その時、「小学校に通っていた頃、登校中によくポスターを見たな」と思い出して、鳩山家の門を叩いたんです。門を叩くといっても伝手(つて)を辿って調べてもらったんですが、鳩山事務所では秘書の採用試験を行なっていることがわかりました。後で知ったら、普通はコネで入るケースが多いので、非常に珍しいんですけどね。
その当時の僕は由紀夫さんと邦夫さんの違いすらよくわかっていなくて、邦夫さんの方がお兄さんだと思っていたんです。「弟の邦夫さんの方で秘書を探している」と言われて勝手に由紀夫さんをイメージして試験を受けに議員会館へ行ったら邦夫さんのポスターが貼ってあって、「あれ誰だろうな」というのが第一印象です(笑)。まず口頭試問とペーパーの試験があって、その後に邦夫さん本人による面接がありました。
「君はどこで出馬するつもりなんだ」といきなり聞かれて、「いや、僕は将来マスコミの世界に戻るつもりなんです。いずれはこの秘書経験を活かして政治ジャーナリズムの分野で記事を書きたいです」と答えたら、
「そんなものスパイじゃないか!」
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