書評

「中国の女、台湾の女そして日本の女」──「場の力」が女を創る

文: 金 美齢 (評論家)

『中国の女』 (福島香織 著)

 翻(ひるがえ)って日本は、中国や台湾に比べて女性が非常に守られている。いやむしろ少々過保護と言うべきだろう。日本人フェミニストが主張する日本の社会的性差など中国や台湾と比べるとほとんど問題にならないレベルだ。日本の女性たちは、甘やかされるのに馴れて、結婚や仕事、子育てに対する覚悟が少々イージーだ。子離れが下手で、大切にされていることへの感謝の気持ちがなく不満ばかりを募らせている、という風に私には見える。

 しかし、私はこれを悪いこととは思っていない。平和と繁栄を享受してきた日本にそれだけ女性を甘やかす余裕があったということであり、そのおかげで日本女性はおおむね優しく美しく正直で穏やかな性格をしている。私はそういう日本に憧れて日本で生きることを選択し、日本国籍を取得した。

 結局、女性の生き方は生まれ暮らす「場の力」が決める。どこで生きるか、自分で決められる女性もいれば、否応なく一つの場に縛り付けられる女性もいる。中国では国内ですら、自由に住むところを選べない。それが中国の女の苦しみの本質である。そんな中国の女たちも、中国の内政や日本の外交の行方によっては、どっと日本にやって来ることがあるやもしれない。そうなれば、イージーな日本の女もタフな中国の女との競争の中で強く鍛えられていくのだろうか。

 最後に「場の力」が女を作る目の前の例として、この本の著者の福島香織さんをあげておこう。現場主義を貫き、とにかく現地に足を運ぶ。現場が彼女の記者としての嗅覚と女性としての感性を鍛えあげた。福島さんがさらにあちこちの現場を歩き「場の力」を吸収してますます成長し、活躍してくれることを期待したい。

潜入ルポ 中国の女
福島香織・著

定価:588円(税込) 発売日:2013年08月06日

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