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作家と過ごす充実の時間「贅沢な読書会」潜入レポ

『スタフ staph』 (道尾秀介 著)

今年7月に文藝春秋から刊行された『スタフ staph』。この本をじっくり読み込み、著者である道尾さんと話すイベント「贅沢な読書会」が、9月25日(日)、横浜・みなとみらいのイベントスペース「BUKATSUDO」で行われた。

固有名詞が小説に出てくるときは

 小説の書き方についても質問が飛んだ。ある参加者は、なんと『スタフ staph』が連載されていた「週刊文春」をスクラップしたノートを持参! 連載原稿と単行本で変わったところを見つけることが楽しいという。連載にはあったのに単行本で消えてしまった描写について尋ねると、道尾さんは「何かが減っているとしたらほぼ100%、読み直したときに必要ないと思って削ったパターンですね。何回読み直しても、まだいらない部分があるんです。原稿を書いて、翌日見直したら半分くらいになることもありますよ」とのこと。

 また他の参加者は作中に「マクドナルド」が出てきたことから「実在の企業名や固有名詞を出すときに意識していることはありますか」と質問。最近世の中の変化が激しくて2、3年で企業のイメージが変わったりするから、という理由だったが、道尾さんは「効果的なときだけ使います」と答えた上で例をあげる。「家に帰ってきて、彼はうがいをした、というとなんてことない描写だけど、家に帰ってきて、彼はイソジンでうがいをした、と書くと、急にその人の目鼻が見える気がしませんか」。作中の「マクドナルド」はどんな場面で使われているか、ぜひ確認してほしい。

この職業だからすぐに気づくタイトルと表紙の関係

 さまざまな年代、職業の人が参加しているのもこの読書会の面白いところ。

 実は『スタフ staph』というタイトルとカバーに描かれた絵には密接な関係があるのだが、この本を読むまえにそれに気づく人はほとんどいない。しかし、この読書会ではある職業についている読者が「このタイトルと装画を見ただけで、ああ~!と思いました」と発言。「さすが本職……」と皆がどよめく。瀧井さんが「読み終えて、スタフの意味を調べて初めてこの装丁が気持ち悪く見えるというのが狙いだったのでは」と呟くと、「でも、私たちにしてみれば気持ち悪くもなんともなくて、●●●●●●●というのは見えないだけでどこにでもあるもの」という、作品の本質につながるさらに鋭い指摘が。これには作者である道尾さんも大いに納得していた。

小説のカバーに垣間見える秘密とは!?

 途中、道尾さんが取材をしたときのメモ書きや、参考にした雑誌記事を皆で回覧する場面もあり、終始アットホームな雰囲気のなかで進んだ読書会だった。

 トークイベントやサイン会と異なり、ひとりひとりが自分の気持ちを焦らず無理なく作家に伝えている様子が見てとれた。同じ作品について語り合ったということで、読者同士の交流も楽しそう。本についての濃密な時間を過ごしたい人は、ぜひ体験してみてほしい。

【INFORMATION】
BUKATSUDO WEBサイト http://bukatsu-do.jp/

11月開催「贅沢な読書会」
詳細・ご予約受付→ http://bukatsu-do.jp/?eventschool=reading08
ゲストの作家は辻村深月さん。課題作は『朝が来る』(文藝春秋刊)です。

スタフ staph
道尾秀介・著

定価:本体1,600円+税 発売日:2016年07月13日

詳しい内容はこちら  特設サイトはこちら


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