このたび、阿川佐和子は文藝春秋より「聞く力」文庫シリーズなるものを刊行することにいたしました。なんだそれと、思うことなかれ。著者の私もよくわかっていないので、答える力はございません。が、担当編集嬢の話によると、これからしばらく(といっても、とりあえず三回までだそうですが)この文庫シリーズを出していきたいとのこと。著者として断る理由がどこにありましょう。有り難いご依頼です。
しいて解説を加えるならば、二○一二年一月に刊行した『聞く力』という文春新書が、あっと驚く為五郎の売れ行きとなり、知人友人親兄弟のみならず、著者本人でさえ、いったい何事が起きたかとしばし呆然のここ数年だったのです。だってね、六十数年にわたる人生において、出版した著書のみならず人間本体とて、こんなに売れたことは一度もなかったのですから。どうしたどうした! でも、いつまでも口を開けてヘラヘラ喜んでいるわけにはいきません。「どうしたどうした」の次は、「今後、どうする?」という流れになります。その結果、「柳の下のなんとやら」を狙い、まずは新書第二弾『叱られる力』を書きました。そうしたら、これもまずまずの売れ行き。どうしたどうした! こうなればもう、この短い運気に乗じて次の作戦を考えなくちゃ。というわけで、本シリーズに至る。図に乗っておるぞというご批判もございましょうけれど、万が一にも「ちょっと覗いてみようかしら」という興味をお持ちになったなら、一つ、お手に取って、パラパラペラペラめくってみることをおすすめします。そうすれば、あなたは必ずシアワセになれる……という約束はしませんが、ほんの束の間ぐらいは、常なる憂さを忘れ、ふふんと鼻で笑うぐらいの脱力を味わっていただけるのではないかと、願っております。
では、シリーズ第一弾、「対談傑作選」を、どうぞお楽しみくださいませ。
(「はじめに」より)
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