いちばん尖っているのが17歳
――神職の娘を描いた短篇、「Changes」のなかで、「揺れていいのは、十七歳までだと思っている」(p139)という台詞があって、それは感覚的にすごく腑に落ちるものがありました。
坂井 この17っていう数字が、まず安定感ないですよね。18歳はもう、受験があったり、就職する子だったら就職活動があったり、そういう具体的に動かなきゃいけない時期なので、なんかモヤモヤしたものを持って、それをどこに置けばいいんだろう、っていう気持ちにはならないと思うんです。16歳はまだ高校生という環境に慣れるのに必死だし。いちばん尖っているのが17歳で、だからこそこの年齢の子を書きたかったんです。
――坂井さんが描く女の子って、『ハーレーじじいの背中』(双葉社刊)の真理奈ちゃんもそうですが、みんな似た部分があるように思います。ひたむきで、透明感があって。
坂井 この作品に出てくる子たちは、大人になったら私が友達になれそうな子ばかり、というのはありますね。モヤモヤはしてるけど、なんだかんだいって前向きなんです。人を不当にうらやんだり、世の中をやたらと恨んだりとかはしない。物語のなかの大人たちも彼女たちと関わることによって「こんなところで腐ってはいられないな」と思ってるはず。読者の方々にも、この17歳の勢いのある純粋さに触れてほしいですね。
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