書評

17歳のときにこの小説に出会っていたら……5人の少女たちへの願いとエール

文: 枝 優花 (映画監督)

『17歳のうた』(坂井希久子 著)

『17歳のうた』(坂井希久子 著)

 17歳の頃の自分を思い返そうとしてみるが、案外難しい。常に今の自分が邪魔をする。あの頃感じていた不安や焦りが、今となっては「たいしたことがない」「時間が解決するさ」なんて言えてしまう。悩んでいる17歳を見ると「若いねえ」と声をかける。これが所謂(いわゆる)〈大人になってしまった〉ということなのだろうか。胸がざわつく。

 思えば当時の私は「若いねえ」と大人に言われることが酷く苦手だった。私が若いことと、貴方が私の気持ちをわからないことはイコールにならないじゃないか、と尖っていた。

 先日、「レディ・バード」という映画を観た。17歳の少女が進路や恋や友情に悩み、母に反抗しながら今を生きていく話だ。私はどこか彼女たちを俯瞰して観てしまった。見かけの良い男の子に恋をする主人公を観て「ああ、何となくいいなというだけで好きになってたなあ。私も」と。母に反抗して車から飛び出す主人公を観て「きっと10年後に母の気持ちがわかるさ」とも。エンドロールで、そんな風に離れて観てしまった自分に気づき、ショックを受けた。若い子を分かったように扱う大人と出会う度に「こんな大人には絶対ならないんだ!」と思っていた私はどこに行ったんだろう。

17歳のうた坂井希久子

定価:本体750円+税発売日:2019年05月09日


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